「キノの旅 ー the Beautiful World ー」時雨沢恵一

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「 世界は美しくなんかない。そしてそれ故に、美しい ーThe world is not beautiful.Therefore,it is.ー 」


出典:『 キノの旅 』時雨沢恵一 より

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 今回は、時雨沢恵一さんの「キノの旅」を。


 二度のアニメ化もされた有名なシリーズ作品です。

 わたしもこの一巻を初めて読んだのは随分前になりますが、不思議と思い出したように読みたくなります。


物語は……

***主人公のキノが相棒の言葉を話すモトラド(二輪車で空を飛ばないもの)のエルメスと旅をしながら色々な国を巡っていくという連作短編形式です。


 この国というのが、それぞれの独特の価値観や制度があり、そこでキノとエルメスは三日間だけ滞在し(このキノが決めたルールにも意味があるわけですが)関わりを持ち旅立っていきます。


 キノの名の由来や、何故キノとエルメスが旅をすることになったのかということも徐々にわかってきます。


 キノはパースエイダーという銃を使いこなし、戦闘力も高く冷静で頭の回転も速い。 そして一見、淡々と旅をしている。


 けれども物語の中で色々なことが明かされてくるうちに、キノが決して感情を失くしてしまっているわけではないことがわかります。


 世界は美しくなんかない。

 行く先々の国々で、人は時に身勝手で愚かで残酷だったりする。けれどもそれゆえに哀しくも愛おしい。


 キノ自身が、きっと自分の愚かさや矮小さを自覚しながら旅をしているのです。

 だから、世界の醜さを知っても、そこにある一輪の花のような希望で救われたりするんじゃないかなと。

 美しくなんかないけど、それ故に美しい。

 だからこその

〈キノの言葉〉

「止めるのは、いつだってできる。だから、続けようと思う」

 なのだと。


 この言葉、わたしもいつも自分に言い聞かせています。

 一話完結なので読みやすいと思います。 二巻以降も、よろしければ是非!


 キノとエルメスと不思議な国々を巡る旅に出かけませんか?

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