「午後の恐竜」星 新一

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「 彼は三十歳ちょっと。努力したかいがあって、この間やっと自分の家を持つことができた。この家。小さく、都心へ通勤するにはけっこう時間がかかり、借金もたくさん残っているが、とにかく自分の家なのだ。

 家族は妻と坊やひとり。数ヵ月後には、もうひとり子供が うまれる予定だ。こんどは女の子だといいな。男は楽しく空想した。高望みすればきりがないが、いまのところ大きな不満のない生活といえた。」


 出典:『 午後の恐竜 』星 新一 より

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 今回は“ ショートショートの神様 ”とも呼ばれた 星 新一 さんの本のご紹介です。


 この本には……

 ******表題作「午後の恐竜」の他に「狂的体質」「戦う人」「契約時代」「理想的販売法」「幸運のベル」など全11編が収録されています。


 星さんの本は、どれも読みやすく短編でありながらも意外な結末が心に残るものばかりです。

 そして結末を知りつつも何度でも飽きずに読み返したくなる魅力に満ちています。


 その中でもわたしが一番印象深いのが、この「午後の恐竜」です。

 冒頭に引用した、主人公のささやかだけれども幸せな生活ぶりの描写。

「午後の恐竜」という題名の意味とは?


 この一編を読み終わった時に、 あなたは どんなことを思うでしょうか。

 この本が気に入ったら是非、星さんのショートショートの世界に足を踏み入れてみてください。

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