「Papa told me」榛野なな恵

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「 女の子の人口の

 0.001%くらいは

 大きくなっても

 大人にならず

 おばさんにならず


 妖精になる 」


 ***episode.40 エルフィー エルフランド


 出典:『 Papa told me 』9巻

 榛野なな恵 より

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 榛野なな恵さんの「Papa told me」 今回は(単行本 全27巻 集英社ヤングユーコミックス)のご紹介です。


 最初にこの漫画を読んだ時、散りばめられた言葉が詩のようだなと思いました。


 主人公は小学生の知世ちせ、作家のお父さんである的場信吉と二人暮らしです。

 お母さんである千草は知世が幼い頃に他界しています。

 そんな知世ちせの視線から語られる日常。


 知世ちせは聡明で理性的、しっかりとした少女です。

“大人であろう”とすることで、お父さんと二人の生活を守りたい。 お父さんもそんな知世ちせを大切に慈しみ、日々を過ごしています。

 いつもは家にいるお父さんが連絡なく遅くなった時、心配になって探しに行って、お父さんの顔を見たら安心して涙を流してしまう。 そんな子どもらしい一面も持っている知世ちせ


「Papa told me」は現代の童話のようですが、ただそれだけでなく知世ちせとその周囲の様々な人間模様や葛藤も描かれます。


 それは 知世ちせとお父さんの“父子家庭”への親族の心配ゆえの(けれど無神経な)干渉だったり。

 お父さんの妹、ゆりこ の“働く女性”として周囲から受ける無理解だったり。


 価値観の違いや意見の食い違い、立場が変われば考え方も違ったりする、それぞれの思い。


 傷ついたり迷ったり、どうしようもない哀しみを抱えていたり、そんな人たちに寄り添うようにそっと差し出された言葉に癒されます。


     ◆


「私たちは みんな1人

 でも 私たちは 夢をみる」


 ***episode.2 ローズ ウォーター

『 Papa told me 』1巻


     ◆


「いつか

 輝けるかもしれない

 

 淡い

 たよりない

 星くず(スターダスト)のひとかけらでも

 

 それは私の光だから」


 ***episode.11 スターダスト リボン

『 Papa told me 』3巻


     ◆


「遠い国へ行きたい

 美しい国へ

 自由な国へ


 人が誰も

 肩をすくめ

 指さしてささやいたり

 しない国へ


 でも もしかしたら

 それは

 見つけられる


 私の中にも


 風の吹く

 優しい午後のような国」


 ***episode.38 マジック マフィン

『 Papa told me 』9巻


     ◆


 心がちょっと疲れてしまった時、読んでみてくださいね。

 シリーズ全部が1話ずつ短編に分かれているので、お好きな巻のお好きなepisodeからでもいいかもしれません。

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