「おんなのことば」茨木のり子
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「この失敗にもかかわらず
私もまた生きてゆかなければならない
なぜかは知らず
生きている以上 生きものの味方をして 」
***「 この失敗にもかかわらず 」より抜粋
出典:『 おんなのことば 』茨木のり子 より
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今日は詩集をご紹介しますね。
好きな詩人は何人かいますが、その一人に茨木のり子さんがいます。
この「おんなのことば」という詩集は詞華集(アンソロジー)として童話屋さんから出版されたものです。
茨木さんといえば「自分の感受性くらい」という詩が有名で、これはわたしも好きな詩です。
丸まった背中がピンと伸びるような、人生に俯きかけた時に読みたくなる大切な詩で、この詞華集では一番最初に載っています。
他にも「自分の感受性くらい」と対のように最後に置かれた「汲(く)むーY・Yにー」という詩の深さは歳を重ねてこそ、しみじみとわかるものかもしれません。
私事ですが、元々、本を読むことが好きだったわたしが自分で“詩を書く”ようになったのは、それでも随分と遅かったように思います。
皮肉なもので人間は(わたしは?)幸せな時よりも悲しい時、苦しい時の方が心が敏感になって、内に秘めた感情が発露するようです。
辛い時ほど、人は自分自身と嫌でも向き合わずにはいられないからでしょうか。
この「おんなのことば」という詩集は友人から贈られたもので、大切に何度も読み返しているのですが、今回「この失敗にもかかわらず」から引用させていただきました。
失敗にもかかわらず、生きてゆかなくてはならない「私」
なぜかは知らず、そう、答えはないままに、それでも。
凛とした後ろ姿が、みえるような詩です。
茨木さんの詩に惹かれるのは、厳しさの中の温もり、生きることへの慈しみの視線を感じるからかもしれません。
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