「料理人」ハリー・クレッシング

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「 人間とは料理をする動物である。 ―――古い料理書

 人間とは食事を楽しむ動物である。 ―――古い料理書 」


 出典:『 料理人 』

 ハリー・クレッシング より

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 今回は海外作家さんです。

 このハリー・クレッシングという人は専業作家でなく、発表した小説は3冊だけ。 かなりの異色作家といえるのではないでしょうか。

 プロフィールも一切公開せず長らく正体不明の謎の作家だったそうです。


 「料理人」が評判になり高く評価されながらも、その後、中編2作品を収録した単行本を発表した以降は小説を発表することはありませんでした。

 ちなみにこの2作品、「料理人」ほどの評判になることはなかったようです。


 そんなハリー・クレッシング渾身の一作ともいえる「料理人」は、なんとも奇妙な味わいのブラックユーモアたっぷりの幻想怪奇小説。


 料理によって人を操る”背が人より頭一つ高い、まるで死人のように痩せて、着ているものもすべて黒”という主人公コンラッドは、いかにも悪魔的です。

 でも、そんなコンラッドの料理に魅せられ、いつの間にかコンラッドの思うままに操られ洗脳されていく人々。


 読者であるわたし達も、いつの間にか、この奇妙な物語に魅せられていきます。

 とても自然に歪みに取り込まれていく、この過程が怖い。 怖いのだけど目が離せなくなる。


 気づけばコンラッドの昏く魅惑的な魔法に読者もかかってしまう不思議な感覚、是非、あなたも味わってみてください。

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