「魍魎の匣」 京極夏彦

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「 雨宮は、今も幸せなんだろうか 」

「 それはそうだろうよ。幸せになることは簡単なことなんだ 」

京極堂が遠くを見た。

「 人を辞めてしまえばいいのさ 」


   出典:『 魍魎の匣 』

     京極夏彦 より

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 京極夏彦作品には熱烈なファンがいる一方で、あの本の厚さと蘊蓄うんちくが、どうも苦手で、と敬遠される方もいるようです。

 確かにどの本も厚い!寝転んで読んでたりすると手が疲れるし、間違ってオデコに落としてしまったりすると目から火花が出る?!レベルです。 が、 決して難解ではない。慣れてくるととても丁寧にわかりやすく書かれているのがわかります。 そして、この独特の文体が癖になってきます。


 京極夏彦作品には民俗学的世界観が描かれており、この「魍魎の匣」を含む《百鬼夜行シリーズ》も京極堂(中禅寺秋彦)が ”憑き物落とし”として解決していくという推理小説ですが、シリーズ中には伝奇小説的色合いの濃い作品もあります。


 わたしは個人的にこの「魍魎の匣」に思い入れがあるので、こちらの作中会話を引用してご紹介させていただきましたが、「魍魎の匣」はシリーズ第二弾ですので、まずは第一弾の「姑獲鳥の夏」(京極さんのデビュー作でもあります)から発行順に読まれていくと、わかりやすいかもしれませんね。


 「姑獲鳥の夏」をはじめて読んだ時には、まさに常識と思っていたことをひっくり返されたような衝撃を受けたのを覚えています。

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