『紫龍園連続怪死事件』

冒頭文


 大和やまと国・紫龍園しりゅうえん州。

 そこは、大和国において最も外国との貿易が盛んな港都市。

 かつて貧困な都市だった紫龍園州は、商才のある当時の有力者によって交易範囲を広げていき、少しずつ現在の勢力を手にしていった。

 だが、その裏では外国との密約や、暗部の活躍があったという噂もある。

 真相はわからない。

 一つ言えることは、この街には他の街には無い『何か』があるということだ。

 その『何か』とは、紫龍園州の『闇』かもしれないし、都市力の『源泉』かもしれない。

 間違いなく、この都市の発展には、何かしら語られていない理由があった。いや、あるはずだった。

 この国の誰もが、その様に考えていた――。


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