第8話 今後の方針
サムズアップして丸投…送り出したつもりだったが大樹はぐちぐち言いながら行こうとしない。気持ちはわかる。大樹はオタクの活動ばかりでナンパとかしたこと無いだろうし、俺は杏によく告白するけど相手にされずフラれるか委員長の手伝いがてらセクハラ発言をかますくらいでマジのナンパはしたこと無い。そして何より人目
勇者のことも秘密だし分が悪い。しかし大樹が行かないと癒しが手に入らないので激励の言葉を送る。
「いいか我が友よ。【進めば二つ】手に入るんだぞ」
おっぱいが。
「そうだな! 進まなくちゃ始まらないよな!! 待っててくれ、俺のおっぱいちゃん!!!」
お前のじゃねえだろ。お前にあるのは雄っぱいだ。しかし大樹が行ってくれたので癒しが手に入る可能性が0から微レ存くらいにはなったかな。失敗してビンタされてもフレッシュトマトにはならないだろ。………ならないよね?
「あとはこのまま成り行きを見守るだけ─げっ」
大樹はさっき見つけた巨乳シスターの呼び止めに成功した。しかし、ふと視線を向けた先には神官と思われるおっさんが大樹たちの方に向かって歩いて来るのが見えた。魔力を目に流しよく見るとおっさんの視線は大樹をロックオンしてる。
踵を返しすぐさま俺は逃げた。
古来から地震 雷 火事 おやじと並べられるほどおやじは怖いものだ。許せ我が友よ。
『そこで何をしている!!』と大きな声が聞こえてくる。無事逃げられることを祈ってる!
教会からある程度距離を取った所で足を止める。大樹も逃げ出して付いてきてたが追っ手はいない。取り敢えず一安心だ。
「一人で逃げるのは酷くね!?」
大樹が当然の非難をしてくる。それに俺は実はそんなに切望してたわけじゃない事を教える。
「あれだけ推しといて言うのもなんだが、俺って別に巨乳好きってわけじゃないんだよね」
杏も大きいってわけじゃないし。委員長の件? あれは自然の摂理だから。
「なんとなく知ってたけど。でも癒しは欲しい」
「そもそもの話、何故男二人だけで異世界に転移するんだよ。こういうのって男女ペアでだろ。
「あ、それ言っちゃう? そんなこと言うなら俺だって俺を慕ってくれる可愛い後輩女子とこっち来て仲良くなりたかったわ」
それ世間がどう認識するかって考えたとき良くて駆け落ち、悪いと誘拐になりそうだな。俺と杏にも言えるけど。むしろよくフラれてるのを色んな人に見られてるからから誘拐としか思われないかも。
現状だと腐ってる人にはそっち方面で妄想されそうで嫌だな。まぁ俺たちを知る人には馬鹿二人が山籠りしてんじゃねえか? とか自分探しの旅にでも出たんだろ、とか思われそうだ。
「それ後輩ちゃんが可哀想。しかし我が友だけが転移してたら心配する杏に付き添って仲が深まったかもな」
「その考えはゲスすぎないか? それに杏は多分心配はしないだろ。むしろ世間にどう説明すればいいのよ、ってキレるまである」
「それ、言ってて悲しくならないか?」
「悲しい。でも俺は真実を受け止められる強い男なんだ」
腕で目を覆って泣く大樹。もちろんただのポーズだがあり得そうなのがなんとも言えない。でも俺は彼女は居なくなった家族を心配する良い子だと信じたい、いや信じてる!
「まぁなんだ、次からは合図くらいは送るよ。だからもうこの話は終わろう」
取りあえず話を終わらせることにした。
「さて、異世界に来たせいか変になってたテンションも落ち着いたので今後の方針を決めるぞ」
「俺は既に落ち着いてて覚理に付き合ってただけだぞ」
いやお前は
「確認だが元の世界に戻るってことでいいんだよな? この世界に残りたいとかは思ってないか?」
「思ってない。だってたぶんこの世界は漫画を読めないしアニメを観れないしゲームもできないだろ?」
俺も続きが気になる漫画はたくさんあるので帰還を諦めるつもりはない。真面目に告白する件も大事だしな。
「あと日本人は食の変態だからな。この世界に旨い食べ物があったとしても平民は食べられない気がする」
「それにも同意だ。ならまずは冒険者ギルドを探して冒険者になる」
「あ、やっぱりそうなるんだ? 確かに定番みたいだけど何もそこまで真似る必要はないんじゃないか。できれば危ないことはしたくないし」
もっともな意見だ。俺もできればやりたくないがそうしなければならない理由がある。
「俺たちは現在身元を証明する術がない。この街の規模は大きいからもしかしたら入るには手続きが必要の可能性もある。もしそうなら不法侵入状態だ。身元の確認を求められたらヤバい事になるかもしれないし、もし大丈夫でも身元がはっきりしない人間を雇おうとする人はまず居ないだろう」
おそらく就職するには伝手やコネが必要と思う。だけど当然俺たちにそんなものはない。だから普通の職種に就くのはおそらく無理だ。しかし冒険者は来るもの拒まずで
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