過去に持っていく物

「過去にはなんでも持っていけるんだよな。」

「ええ、そうですよ。」

と、飼い犬は答えた。

「ただし、このゲートを通るものにしてくださいね。トラクターや軽トラはこのゲートを通らないので無理ですよ。」

「そうだなぁ…」

私は農業に関する小物で高いモノを考えた。管理機は持って帰れない。

手袋やトンカチは別に安いし、スマホはあれ発売日前だしなぁ。

持っていくとしたら、データがいいけれど、日記はデジタル保存していたんだった。

「うーん。悩むなぁ。」

時間はあと4分、さぁどうする。

How to本とMy財布を持って帰ることにした。

多品目野菜の本と有機農業の本と、養鶏やはちみつ、ワインの本も持って帰ろう。


「知は力なり。」イギリスのベーコンが言ったらしい。豚肉ではない。

あとは眼鏡かな?


思えば、自分に対して何も買ってなかった。

稼いだお金はほぼ勉強か仕事に大半は注ぎ込んだ。

私のもとには、物質的に何も持ち続けていないんだなぁ。

買ったのはゲームとCDぐらいか?

でもどうせ過去に戻っても順々に出てくるしなぁ。


そう思いながら、未来技術を用いられるかもしれない、

本をたくさん持って帰ることにした。


「はやくしないと、過去に戻れなくなるけど、大丈夫??」

「もう行くよ。」

「じゃぁ。バイバイ。」

そう言うと、私は鳥居ゲートを潜った。

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