アカイさんとヨコイさん(女子高生を守る赤い○○の話)

 アカイさんはいつも一生懸命仕事をしています。


 その仕事は、この先へ誰も入らないよう見張ることです。


 今は冬で、アカイさんは寒そうです。


 アカイさんの顔は赤くて大変そうです。


 私は赤いマフラーを編んでアカイさんに巻いてあげました。


 アカイさんは何も言いませんでしたが、暖かそうだったので、嬉しかったです。 翌日、アカイさんの仲間が仕事をしていました。


 名前はヨコイさんといいます。彼もアカイさんと同じく黙々と仕事をしています。


 ヨコイさんにも、マフラーを編んで巻いてあげました。 ヨコイさんも黙っていましたが、私に感謝しているようでした。


「はぁ……」


 私はアカイさんやヨコイさんみたいに働き者ではありません。 


 体も心も弱くて、アカイさんと会いに行ってしまうんです。


 何度もここへ来ちゃうけど、アカイさんが止めてくれるから、家へ帰るんだ。


 でもある日、アカイさんとヨコイさんがいなくなっていました。


「いなくなるなら、せめて言ってくれればよかったのに」


 私を止めてくれた、アカイさんとヨコイさん」はもういません。


「アカイさん、ヨコイさん、ごめんなさい……」


 二人が守ってくれた、立ち入り禁止の先へ……。


 翌日、「女子高生行方不明」と大きく書かれた新聞記事が出ていた。


 その記事には、「親との暮らしに苦しんでいた女子高生」と、その次に紙面に「立ち入り禁止のパイロンを盗んだ男性を逮捕」という記事が書かれている。

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