電池が怖い(電池への思い込みが激しくなるお話)
俺は電池という得体のしれない物が怖くて、リモコンを無心で扱うことができない。
なのに生活に必要不可欠だから、いつも震える手で操作をしている。
今日、友人と遊んでいるとき、気軽にチャンネルを変えているのを見て俺は羨ましく思う。
友人は、細長いあの物体(電池)でリモコンやいろんな物を操ってしまうのが怖くないのか。
俺は、何事もなく電池に操られたリモコンを扱う友人が怖かった。
いつか自分まで、電池に操られてしまうのじゃないかと考えるだけで夜も眠れない。
「電池が人を操れるわけないじゃないか」
と友人は笑って返したのだけれど、実は電池に支配されてしまっていて、友人は本当のことを言えないんじゃないかと思ってしまう。
最近、衝撃的な事実を知った。
電池は物を操る力があるのは知っていたけれど、中に電気を隠し持っていると友人から聞いた。
リモコンだけでなく、色んなところにも電池が隠れていると聞いて、俺は肩を落としてしまった。
アイツはすべてを支配してるのか。
俺はもう我慢できなくなって、友人に詰め寄った。
「お前は「電池」の手先なのか!? 正直に言え!」
「はぁ?」
数分間の沈黙の後、友人はニヤリと笑う。
「そうだよ、バレちゃったら始末しないとなぁ」
や、やっぱりか……。
俺は、電池に絶望をして、恐怖で気を失ってしまう。
再び、目を覚ますと天井が白く、俺は白いベッドに乗せられていた。
僕の友人は変わり者だった。
遊びに来たとき、友人は電池のことを異様に怖がっていた。
おかしな奴だなと思っていたが、ある日[電池が人々を支配しているという妄想が書かれていた日記]を友人の部屋で発見した。
「変なやつだよね、そんなことありえないのに」
あの時、僕が電池に支配されているのかと聞かれて驚いた。
その日は丁度、四月一日でエイプリルフールの冗談だと思って、僕は嘘で返してしまった。
すると、彼は顔を真っ青にして倒れてしまう。
「ごめん、本気だとは思わなかったんだ」
「本当に、馬鹿だよな……」
友人は今、精神的な問題で入院している。
早く、彼の問題に僕が早く気づいてあげられれば……。
「電池のこと、勉強してみようかな」
友人に、電池が安全で人々を助けてくれる存在だということを伝えようと思う。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます