第3話 駆ける違和感

「………ん。」


目を開ける。

視界が薄暗い。


ここは………

そうだ、思い出した。


ここは天間だ。

私はシオリだ。

そしてここはきっとハスの花の中…!


すると、上から光が差してきた。


光とともにハスの花びらは散り、明るくなった。


「おはようございます、シオリさん。」


「スリジエ!」


あ!声が出た!


「そうなんです。ここ、天間に来てから1回でも転生すると声が出せるようになるんです。転生1回1回でどんどんシオリさんの天間が変わっていくので、楽しみにしていてください。」


そう言ってスリジエは微笑んだ。


私は、スリジエの微笑みに何故か違和感を感じた。

なんか、見たことある………気がする。

何も覚えていないけれど、何か、このスリジエの雰囲気、感じたことある気がする。


「シオリさん、どうかしましたか?」


急にスリジエに話しかけられて、ビクッとなってしまった。


「…!何でもないけど……」


「ならいいや。次は何に転生しますか?」


スリジエが敬語じゃないことを言った。

「ならいいや。」なんて、ずっと敬語を言っていたスリジエらしくない。

もしかして、私の前前世の知り合いだったりして?

いや、10万回転生してるからそれはないか。


「シオリさん、やっぱり考え事ですか?

 ベッドを出すのでゆっくりしていてください。   決まったら僕の名前を読んでください。」


そう言ってスリジエはぽんっとベッドを出した。

私は操られるようにベッドへいった。

スリジエが掛け布団をめくる。

私はそのまま布団の中に入った。

スリジエは「おやすみなさい」とだけ言って、私に布団を掛けた。


私はそのまま、泥のように眠ってしまった。

眠る直前に、スリジエの少し寂しそうな笑みが見えた………ような気がした。




「………うーん。」


「シオリさん、起きましたか?」


「うーん………。」


目の前のベッドでシオリさん――彼女が寝返りをうった。まだ起きていないようだ。


彼女のかわいい寝顔を見て、ついくすりと笑ってしまった。


茶色がかったショートボブ。

長めのまつげ。

ふわふわのほっぺ。

薄い唇。


本人は自覚してなさそうだけど、シオリさんは十分可愛い。

目覚めるかな。目が覚めてほしいな。

こんな夢を見る前に。




「………うーん、ふわあ。」


私はあくびをした。

スリジエのベッド、気持ちよかったな〜。


「シオリさん、おはようございます!」


「スリジエ、おはよう」


スリジエはおはようを言われるとニコリと笑った。


「シオリさん、次は何に転生しますか?」


うーん。前世は木だったし、次は動物がいいなあ。

誰かのペットになるのもいいかも。

よし、猫にしよう。


「猫がいいな。」


「わかりました。転生、スタート」

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輪廻転生桜夢 きみとおさる @kimitoosaru

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