丹坂の戦い 龍造寺隆信、肥前の大勢力有馬に挑む
浜村心(はまむらしん)
作品について、主要人物紹介および参考文献(※7/4追記)
ご覧いただきありがとうございます。
この小説は、日本の戦国時代、東肥前の佐嘉(佐賀)地方を治めていた龍造寺家と、西肥前を治めていた大勢力、有馬家との戦争について描いた軍記物です。
戦いは永禄六年(1563)六月から七月にかけて、大きく分けて四つ行われ、(①
(ちなみに現地の呼び方にならい、丹坂は「にさか」ではなく「にざか」と濁ります)
諸本やネット上では「丹坂峠の戦い」として知られてます。
しかし、実際には峠での戦闘は行われなかった様で、地元で古くから呼ばれていた、「丹坂の戦い」をタイトルとして採用しました。
なお、戦いの経過については、大まかに「丹坂峠の戦い 龍造寺隆信、智謀と決断、カエサルに似たり」(東統禅著)を参考にしております。
理由としては、この戦いは近年、著者である東統禅氏の研究により、詳細が明らかになってきたためです。もし拙作を読んで、戦いに興味を持っていただけましたなら、同誌を一読されてみることをお勧め致します。
最後に龍造寺隆信は極度の肥満体であり、狂暴で残忍な性格であった事から「肥前の熊」と呼ばれています。
しかしこの渾名について、私はおおよそ似つかわしくないと思っています。
残忍と思われている隆信の行為については、相手側もそれなりの非がある場合が殆どです。また当時の倫理観から逸脱したものでもありません。
そして、極度の肥満体については晩年の話であり、壮年期には引き締まった巨体で馬に跨り、戦場を駆け巡っていたのです。そう、この丹坂の戦いの様に。
と言う訳で、得意としたのは奇襲、速攻そして謀略。
そんな龍造寺隆信の真骨頂とも言える戦、丹坂の戦いの顛末を最後までお楽しみください。
☆主要登場人物
(作中でも紹介しているので、ここでは簡単に。年齢は永禄六年(1563)当時)
龍造寺家
龍造寺隆信 三十五歳
主人公。佐嘉郡の国衆、龍造寺家の惣領。
大男で豪気だが、細かい目配りも出来る。謀略と奇襲を得意とする。
(登場は三話から)
龍造寺長信 二十六歳
隆信の弟であり、治政を支える右腕ともいうべき人物。
性格は人当たりよく温和。隆信の奇を
広橋一遊軒
台所の下男だったが隆信の目に止まって成り上がり、先陣を任される程になる猛将。
百合野の戦いで一軍を率い夜駆けを狙う。
鍋島信昌
後の直茂、佐賀藩祖。丹坂の戦いにおいて隆信と行動を共にした後、百合野の戦いで一遊軒と同じく夜駆けを狙う。
有馬家
有馬義貞 四十三歳
西肥前に強大な版図を築いていた有馬家の当主。
政事に疎く、家中をまとめ切れないため、父仙岩の威勢にぶらさがっている。
有馬仙岩 八十歳
義貞の父。婚姻や戦闘を重ね、有馬家を肥前最大の在地領主へと成長させた名君。
義貞に家督を譲り隠居の身だが、家の実権は未だに握っている。
島原純茂
有馬家中における大身の国衆、島原家の当主。
当主義貞に替わり、丹坂の戦いにおいて有馬勢の指揮を執る。
島原兵部少輔
純茂の次男。有馬勢に従軍して数々の戦いに参加するが、龍造寺勢や地侍達の策略に翻弄される。
有馬家中における最上位の家臣、老臣の立場にある人物。
対龍造寺の緒戦、柳鶴の戦いにおいて、有馬先遣隊を率いて戦う。
大村純忠 三十一歳
有馬傘下の国衆、大村家を継いだ有馬仙岩の次男で義貞の弟。
この年受洗してキリシタンとなり、軍勢を率いて丹坂の戦いに加わる。
西郷純堯
有馬一族、義貞の従兄弟。家中最大の国衆である西郷家の当主。
野心家。隙あらば有馬勢を乗っ取ろうと画策する。
☆主な参考文献
・「丹坂峠の戦い 龍造寺隆信、智謀と決断、カエサルに似たり」 東統禅著
・「戦国の肥前と龍造寺隆信」 川副義敦著 宮帯出版社
・「忘却の日本史」第二十二号~二十六号 ドリームキングダム
・「肥前有馬一族」 外山幹夫著 新人物往来社
・「大村純忠」 外山幹夫著 静山社
・「完訳フロイス日本史9 大村純忠・有馬晴信編Ⅰ」
ルイス・フロイス著 中公文庫
・「有馬義純の家督継承」(論文) 丸山和洋
・「夢語り・夢解きの中世 」 酒井紀美著 吉川弘文館
・「百姓から見た戦国大名」 黒田基樹著 ちくま新書
・「戦国の村を行く」 藤木久志著 朝日選書
・「境目争いと戦国諜報戦」 盛本昌広著 歴史新書
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