ピースフロッグ
仁
第1話
先生は「昨日はここまで来たね。今日はもう一歩先へ進んでみよう」なんて授業を始める。同じ教室で、イジメも日に日に進む。もう一歩先へ、もう一歩先へ。そんな風に、ニヤニヤしながら背中を突つく人に、私は隅に追いやられてく。それでいて、私に私が居ないんだと、反対の事を感じさせる人達に。
最初は靴にゴミが入れられてた。次は良かれと思って貸して、返って来た教科書に挟まってた。次は机の中に。開けた弁当のご飯の上に。髪の中に。口の中に。…最後は口で言いたくない場所から、私のお腹の中にまで。
だから私はゴミの臭いがするらしい。私の内側に放り込まれたゴミが、外に染みだすんだ。そう、先生でもない同級生に教えられる。私が馬鹿だから、「お前は馬鹿だ」と教える。聞きたくなくても、本当の事だから、って。
「今日はもう一歩進んでみよう」と教室の皆は私に命じた。でも、もうここが隅っこなのに…。「あるじゃんか」と、誰かが窓を開けて言う。私は踏み出した。もう私も、自分の内側のゴミの臭いに耐えられなかったから。落ちて砕ければ、私の酷い臭いは、もう私だけのものじゃなくなるだろう。
そして全部街へと流れ出てしまえばいい。街中が臭くなって、皆この学校から帰れない様になってしまえばいい。
ピースフロッグ 仁 @jintonictone
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