叢雨
降っては止み止んでは思い出したように激しく降る雨のこと。
「急に来たね。」
「あぁ、雨宿り出来る所の傍歩いてて良かった。」
尊と夢乃は大学からの帰り道、突然の雨に見舞われていた。
ちょうど屋根付きのバス停があったのでそこに駆け込み雨を凌いでいた。
「天気予報は天気崩れるなんて言ってなかった気がするのに。」
「まったく。雨具なんか持ってないぞ。」
尊が恨めしそうに灰色の空を見上げれば、夢乃も釣られて空に目を向ける。
「ほらタケ、西の空が真っ暗だよ。」
「こりゃもっと酷くなりそうだな。」
風上に濃い灰色の雲が垂れ込め辺りは夕暮れのような暗さになっていく。
「ダッシュで帰る?」
「そうだな。」
尊が言い終わるや否や、夢乃はバス停を飛び出して家の方へ駆け出す。
尊も夢乃の後ろを追い掛けて走り出した。
「結構ヤラレたな。」
家に辿り着いた尊が髪から雨を滴らせながら玄関口でぼやく。
「はぁ……びちょびちょになっちゃった。」
見れば夢乃の白いブラウスが濡れて肌に貼り付き、水色の下着が透けていた。
(こ、これは……)
慌てて視線を逸らす尊。
「ふ、風呂、入るか?」
「一緒に?それはちょっと……」
「ちっちがわっ!」
(出来るならそうしたいが……)
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