仮説

 将来最も実現確率が高いと考えられる仮の過程や回答の事。

 誰もが『もし○○だったら』と考えた経験があるだろう。


「私とタケって幼馴染だよね?」


 ベッドにもたれて読書中の尊に、そのベッドに寝転がった夢乃が尋ねる。


「まぁ小さい頃からずっと一緒に居るからそうだろうな。」


「もし幼馴染じゃなかったらどんな関係だったのかな?」


 尊は読んでいた本を伏せて頭上で寝そべっている夢乃の方を向いた。

 夢乃は仰向けになってスマホを弄っている。


「急にどした?」


「いや、もし私がタケの幼馴染以外の関係だったら私の晩御飯は誰が作ってくれるのかと思って。」


「自分で作れよ。」


「晩御飯作ってくれる関係って他に何がある?」


「不自然に話逸らしたな。んー……」


 尊は正面に向き直り、ソファに頭を預けて天井を眺める。


「普通に考えれば夫婦とか同棲中の恋人……」


 言って尊はハッとして口を噤んだが、夢乃は『ふむふむ』と納得顔。


「つまり今の関係は夫婦か同棲中の恋人に近いって事か。」


「ぜ、全然違うと思う……」


 と言いつつそうなってくれる事を密かに望む尊は、火照った顔を見られないように頭を起こして夢乃に後頭部を向ける。


(ユメと恋人とか夫婦とか……最高じゃん!)

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