節分

 元々は四季の節目となる立春・立夏・立秋・立冬の前日の事。

 いつからか立春の前日だけを『節分』と言うようになったとか。


 尊の部屋には豆が山盛りになった枡を持つ巫女姿の夢乃が居た。


 「はいこれ。」


 「ん?お面?」


 夢乃が尊に渡したのは紙で出来たお面。

 表は赤鬼の顔。

 この時期に山盛りの豆と鬼の面と言えば『豆撒き』しかなかろう。


 「俺が鬼?」


 「何でもいいんだよ。こういうのは雰囲気が大事。」


 尊は渡された面を素直に被る。

 被る被らないの押し問答をしても時間の無駄だから。

 その横に座って夢乃が豆をぽりぽりと食べだした。


 「撒かないの?」


 「撒いてもいいけど掃除めんどいでしょ?タケも食べる?」


 「まぁ縁起物だし貰おうか。」


 「おっと。」


 夢乃が枡を動かした時、手がどこかに当たって豆が少し零れてしまった。

 零れた豆が夢乃の胸の谷間に。

 それを指で摘まんで拾っては口に運ぶ夢乃。

 尊は夢乃の着た巫女装束の大きく盛り上がった山の上にポツンと隆起する突起に目が留まった。


 (え……ま、豆だよな?)


 だが見た感じ巫女装束の下に何か着ているようには見えない。


 「あ、こんな奥にも。」


 夢乃が胸の間に手を入れて突起を探り、取り出して口に運んだ。


 (だよなぁ……)

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