歳末

 年末の事を言うが、同じ意味なのに『歳末』と聞くと『セール』や『助け合い運動』なんてのがすぐ頭に浮かぶから面白い。


 尊は部屋のソファに寝転がってスマホの画面を眺めていた。

 某A→Zのサイトである。


(今年は何プレゼントしよう……)


 幼い頃から毎年続く夢乃とのクリスマスプレゼントの交換。

 毎年楽しみでもあり悩みの種でもあり。


(去年は確かマフラーだったな。)


 クリスマス直前に夢乃がマフラーを破いてしまったと聞き悩む事無くマフラーにしたのだが、今年は何の情報も持っていない。


(無難に普段使いの持ち物にするか……アクセサリーとかはちょっと重たいか……服も俺センス無いしなぁ……)


 と、そこへドアを開けて夢乃が入って来た。


「じゃーん。」


「へ?」


 機嫌良く入って来た夢乃に目を向けると、とんがり帽子にジャケット、ミニスカート、全てが赤と白の、所謂『ミニスカサンタ』の格好である。


「どぉ?可愛いっしょ?」


「お、おぅ……」


「タケのプレゼント考えるのに気分乗せようと思って着替えたんだけど上のボタンが留まらなくなってる。」


 夢乃が胸を左右からぎゅっと抑えると、その柔らかさが見た目だけで伝わってくる。




(プレゼントはそれでいいっす。)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る