秋麗

 秋の陽気が良くて心地良い様を表す言葉だが『しゅうれい』よりも『あきうらら』の方が可愛いと思う。


「ふわぁ……」


 尊が大学の課題を一段落させてベッドに寝転ぶと、自然と大きな欠伸が漏れる。

 疲れたのもあるが、暑さが緩んで秋の雰囲気が出て来た気候がより眠気を誘う。


「ん……ん?」


 いつの間にか本格的に寝てたなんてよくある事。

 どれくらい眠ったか分からないが、体の怠さと窓から入る光の感じから結構長い時間寝てしまっていたようだ。

 が、体の怠さとは別に、隣りに何かが居るのはお約束である。


「ユ、ユメ?」


「んぅ……おはよ……」


「おはよ……じゃなくて、何でいつも俺が寝てたら一緒に寝てんだよ?」


「んー、何かタケっていつも気持ち良さそうに寝てるんだよね。だから一緒に寝たら私も良い睡眠が取れるかなーと思って。」


 夢乃は悪びれもせず尊の腕に頭を乗せたまま言う。


「人を高級マットレスみたいに言うんじゃない。」


「腕借りてるだけじゃん。タケがマットレスならこうしてるよ。」


「!?」


 夢乃はそう言って尊の体の上に圧し掛かる。

 あちこちの柔らかい感触が尊を襲う。

 硬直する尊の顔を夢乃が楽しそうに眺めていた。


(「天国か地獄か分からん……」)

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