台風
北西太平洋または南シナ海に存在し、風速17m/s以上のものを呼ぶ。
昨今は温暖化の影響か、大型化且つ強力化しているので注意が必要だ。
「夜から明日の朝に掛けて強くなるらしいよ。」
「みたいだけど……」
尊は自分の部屋で接近する台風に備えて準備を整えていた。
「何でユメがそんなでっかい荷物持って俺の部屋に居るんだよ?」
「合理的だからだよ。」
「合理的?」
夢乃は家から担いで来たリュックから詰め込んだ荷物を出しながら言う。
「二人で居れば力も知恵も一人以上のものが出せるでしょ?」
「まぁ、それはそうだけど。」
「食料も水も、お互い足りない部分は補え合えるじゃん。お風呂に水溜めた?」
「さっきユメから連絡あってすぐ溜めた。」
「よしよし。後はランタンと充電式の扇風機にモバイルバッテリーもOK。」
机や床に並べられる夢乃の持参品。
まるでキャンプでもするかのような道具の数々に、尊は感心するやら呆れるやら。
「色んな物持ってるんだな。」
「でしょ。『備えあれば患いなし』ってね。」
今回の台風はそこまで備える必要があるとは思えないくらいの規模なんだが……とは言い出しにくい理由が尊にはある。
(「相変わらず台風怖いんだな……」)
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