祭事
単にお祭りのことを言い換えているだけ。
尊と夢乃は幼少の頃から毎年欠かさず行っている祭りがある。
小学校の近くの神社で催されるその祭りが、そんなに歴史の深いもので無いと知ったのはつい最近のこと。
だが、恒例行事のようになっていた二人にとってはどうでも良くて、立ち並ぶ屋台で買い物をしたり締めの打ち上げ花火を眺めたりするのが目的。
「今年は浴衣新しいのにしたよ。」
夢乃は白地に色とりどりの水玉模様があしらわれた浴衣を着て、尊の目の前でくるっと回って見せた。
「俺は去年と一緒。」
「シックでいい感じだよ。似合ってる。」
「ユ、ユメもよく似合ってる……ぞ……」
尊が夢乃の方をちらっと見た時、普段あまり見る機会の無い項が目に入り、その色っぽさに心臓が高鳴る。
後れ毛を指に掛けて夢乃が尊の方をちらっと見る。
「どうしたの?」
「い、いや……何でも……」
浴衣は女性を3割増しで色っぽく見せる……というのは間違いでは無さそうだ。
「それにしてもこう人が多いと浴衣でも暑いね。」
「んっっっ!?」
夢乃が襟に指を掛け、合わせに向かって下ろしながら胸元に風を送ろうと広げる。
頭一つ背の高い尊からは深い渓谷が見えた。
(「神様ありがとう!」)
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