隠匿

 人目に触れないように隠しておく事。

 何かを隠す事自体良い印象を受けないのは私だけだろうか。


 ここはいつもの尊の部屋。

 尊と夢乃が机を挟んで向かい合わせに座ってお互いスマホの画面に見入っている。


「あ……充電ヤバいな。」


「タケは寝る時に充電しないの?」


「この前スマホ機種変したばかりだからね。」


「そういやそうだったね。いいなぁ新しいスマホ。」


 夢乃が自分のスマホから目を離さずに羨ましがる。


「それよりモバイルバッテリー知らないか?」


「知らなぁい。」


 前にそう言いつつ尊のモバイルバッテリーを夢乃が使っていた事もあったので、尊は夢乃の持つスマホを見たが今回は何も繋げていない。


「おかしいなぁ……どこいったんだ……」


 尊は机の下を覗いたりクッションを持ち上げたりして探したが見当たらない。

 その内出て来るだろうと諦めてコンセント直付けの充電ケーブルに手を伸ばした時だった。


 ゴトッ


 重たい物が落ちる音がして顔を向けると、夢乃の膝の横にモバイルバッテリーが。


「あった……って何でそんな所に?」


「あ~ぁ落ちちゃった。」


「え?ユメが隠してたのか?」


「ふっふっふ。女は隠し場所がいっぱいあるからねぇ。」




(「何処に隠してたんだ……」)

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