離愁
別れの際に感じる哀しみの事を『離愁』と表現する事がある。
誰かとの別れは勿論、愛着のある対象との別れはそれが何であっても悲しい。
日曜の昼。
いつものように夢乃は尊の部屋に来て昼寝をしている尊の横に並んで寝ていた。
「ん……?」
尊は右の手に伝わる柔らかい感触に目を覚ます。
「んぅ……」
悩まし気な声を漏らす夢乃の寝顔が視界に映り、(また勝手に……)と呆れた風に思う尊。
「んぁ……タケ、起きたの?」
「起きたの?じゃねぇよ。何で毎度俺のベッドで寝てるんだよ?」
「いいじゃん。それよりさ……」
「ん?」
夢乃が目線を自分の胸元へと向ける。
「時々タケって大胆になるよね。」
尊が夢乃の目線を辿ると、夢乃の左胸の上に手が乗っていた。
「どぁっ!?ちっ違うんだ!ここここれは……!」
慌て顔の尊を、夢乃が可愛らしい笑顔で見ている。
「その……寝てる間にいつの間にか……」
「ふふっ。タケはおっぱい好きだもんね。」
「ち、ちが……わなくはないけどこれは違う!」
「今更否定しなくてもいいんだけど……」
目線を合わせたまま固まる二人。
「で、いつまで乗せとくの?」
「えっと……ごめんなさい……」
膨らみから手を離す尊。
(「さらば至福の感触……」)
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