豹変

 『態度や性格が一変する事』を意味する。

 豹の毛が季節によって抜け替わり斑文が美しくなる様を表し、元来は良い方向へ変わる場合に使われるが昨今は悪い方向に変わる時にも使われている。


 尊と夢乃は尊の部屋でそれぞれの定位置に居て、尊はスマホでゲーム、夢乃は雑誌を読んでいる。


「ねぇタケ、こっち来てよ。」


「何だ?」


 尊はスマホを持ったまま体を捻り、夢乃の方に顔を向ける。

 夢乃はほんの50cm程しか離れていない場所で尊にベッドに上がって来るよう手をひらひらとさせている。


「どした?」


 尊が体を起こすと同時に、夢乃が尊の手を掴んで引っ張った。


「うぉっ!あぶねっ!」


 危うく顔同士が衝突しそうになるのを空いた手をベッドに着いて躱すが、夢乃は尊の胴体に腕を回して抱き付いてくる。

 その反動で尊はベッドの上に寝転がり、その上に夢乃が圧し掛かってくる。


「な、ナニナニ!?」


「抱擁の練習。」


「は?」


「なかなか抱擁って練習出来ないじゃん。」


「れ、練習するような事でも無いと思うんだけど……って何やってんの?」


 夢乃は尊に抱き付いて寝転がったまま、尊の胸に顔を押し付けている。


「やっぱタケっていい匂いするね。」




(「ど、どういう事なん?」)

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