受付

 病院や銀行。

 窓口で用事を伝えてもすぐに対応してくれるわけじゃない。

 対応出来る人の手が空くまで待たされる事多々有り。


 尊は以前、風邪を引いて以来尾を引いている鼻炎の薬を貰いに病院へと来ていた。


「何でユメまで着いて来てんだ?」


「別に理由は無いけどタケが出掛けるのが見えたから着いて来た。ダメだった?」


「いや、ダメじゃないけど薬貰いに来ただけだし。」


 静まり返る待合室に尊と夢乃のひそひそ声がよく聞こえる。


「病院って薬貰いに来てるだけなのに随分待たされるでしょ?」


「まぁ先生も暇じゃないだろうし、処方箋書くだけでも時間掛かるのは仕方ないよ。」


「タケって妙な所で達観してるよね。」


「そうか?」


「まぁ、淡々としてないタケって想像出来ないけど。」


「それって褒めてる?貶してる?」


 夢乃は『ふふっ』と笑って待合室の中に視線を泳がせる。


「真鍋さぁん、真鍋尊さぁん。」


 受付で女性が尊の名前を呼んだ。


「はぁい。」


「何でユメが返事するんだよ?」


「あ~何か勢いってやつかな。」


「ユメは『真鍋』でも『尊』でもないだろ。」


「『真鍋夢乃』……ふむふむ……語呂は悪く無いね。」


「ぶふぉっ!?」




(「た、他意は無いよな……」)

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