　物体が柔らかくしなやかで弾力性に富む事やその様を表す。

　人の場合、様々な事に容易に対応出来る様を言ったりもする。

　尊は今、床に座った夢乃の後ろに居てその背中を押している。

　尊が背中を押すのに合わせて夢乃の上体が大きく開いた両足の間に沈み込む。

「ユメって体柔らかいよなぁ。」

「小さい頃からずっとやってるからねぇ。運動はあんまり得意じゃないけどこれは疲れないから続いてるのかも。」

　ゆっくりと尊が力を加えると、何の抵抗も無く夢乃の上半身は開脚した間の床にへばりついていく。

「ただねぇ……」

　夢乃の上体がゆっくり戻され、また尊が背中を押すのに合わせて前に倒れ込んでいく。

「何か問題でもあるのか？」

「いやぁ……子供の頃はもっと床まで近付いてたと思うんだけどさ。」

　尊が抵抗を感じる所まで押すが、確かに夢乃の顔と床の間は少し空いている。

　続けて尊が押す力を加えても『ふにゅん』という感じで押せるのは押せるが反動で戻って来る感じがする。

「高校生くらいから……床が遠く離れて行く気がしてるんだよね。」

「あ……おぉ……」

　尊は夢乃の背中を押しながら、手に跳ね返るその反動に集中していた。

（「これは柔軟体操の手伝いだ……うん……」）

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