常態
いつもと変わらない様子。
普通の状態。
一番楽な状態なんじゃないかと思う。
街に出て来た尊と夢乃は、最近話題になっていた恋愛映画の看板が目に入って立ち止まっていた。
「流行りに乗り遅れるのは花のJDとして有ってはならない事だよ。」
「知らねぇけど。まぁどうせ暇だし観ていくか?」
「だね。」
薄暗い館内のシートはカップルシートになっていた。
尊と夢乃はやや狭く感じるシートに並んで腰を下ろす。
「カップルシートって初めてだけど思ったより狭いんだな。」
「まぁ恋人同士がくっついて映画観る為の席だからね。これくらいがいいんじゃない?」
「ま、まぁ、そうなんだろうけどさ……」
「ふふ。いつもタケの部屋で二人で居る事が多いのに、場所が違うだけで全然雰囲気違うよね。」
「そ、そうだな……(いつもの俺の部屋だと思え……)」
映画が始まり館内の照明が落ちると、夢乃が尊の肩に頭を乗せてきた。
尊は妙に気恥しい気がして映画に集中出来なくなっていた。
そして大画面に映し出されたのは男女二人の俳優のラブシーン。
思わず横目で夢乃を見る尊。
「すぅ……すぅ……」
気持ち良さそうに寝息を立てる夢乃。
(「こういうとこまでいつもと同じかよ……」)
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