寄道

 学校は毎日あるのに放課後の解放感は何故か嬉しい。

 如何に目の前の幸せしか見ていないか……だったと今になって気付く。


「タケはいつもブラックだよね。」


「え?ど、どういうこと?」


「砂糖もミルクも入れないじゃん。」


「あ、あ~コーヒーね。」


 尊と夢乃は学校帰りに立ち寄ったカフェでのんびりとした時間を過ごしていた。

 落ち着いた雰囲気が気に入った二人が、割と頻繁に通うようになったカフェだ。


「そういやこの前、タケが私の彼氏だと思ってる友達が居るって言ったじゃん。」


「あー言ってたな。」


「その子、もう3年くらい彼氏が居なくて寂しがってて、んで、『夢乃が付き合って無いなら紹介して』とか言われたんだよね。」


「へ?あ……うん……(それを俺に言うって事はユメは俺のこと何とも思ってないって事か……)」


「でも即『ダメ』って拒否っちゃった。」


「お、おぉ……ま、また何で?(お?これは……)」


 夢乃はストローに口を付けてオレンジジュースを一口。


「だってタケに彼女出来たら誰が私の肩凝りをマッサージしてくれるのよ?」


「は?」


「何気にタケのマッサージってその辺の整体行くより効くから助かってるんだ。」




(「どう捉えりゃいいんだろ……」)

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