膝枕

 誰もが憧れるシチュエーション『膝枕』。

 お互いに相手がどれだけ気を許しているかのバロメーターにもなる。


 今、夢乃は床に座って足を伸ばして本を読んでいる尊の太腿を枕にしてスマホを眺めている。


「な、なぁユメ……」


「なぁに?」


「そ、その体勢……キツくない?」


「全然。」


 時折体をごそごそして姿勢を変える夢乃。

 足の付け根に夢乃の頭が寄る度に、尊は腰に力が入ってしまう。


「タケはキツいの?」


「い、いや……そんな事は無いんだけど……」


 ズボン越しではあったが、夢乃が頭を動かす度に艶々の黒髪が太腿の上を流れてゾワゾワしていた。


「あんまり動かないで欲しいかなぁ……って……」


「ひょっとして私の頭、重たい?」


 夢乃はそう言うと尊の太腿の上で頭をゴロンと90度回して上を向いた。


「んっ!?」


 つまり、夢乃の頭がより尊の腰に近付いたわけで……


「んー?どしたの?」


「な、何でもない……」


 夢乃の頭の下にはがあるわけで……


「どうしたのさ?てか、あんまり動かれると頭落ち着かない。」


「わ、悪い……」


「いやま、タケの膝借りてるのに文句は言えないけどさ。」


 そう言って夢乃は再び横を向いてスマホに興じる。




(「ヘンな想像するな……俺……」)

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