遊戯

 最近のゲームはスマホでも出来て、その画質は驚くほど綺麗で、思わず魅入ってしまうようなものが多いけど、問題はスマホ自体の画面の大きさ。

 とか言う程の問題では無いが、それはあくまでも一人である事が前提。


「あのさ、ユメ。」


「何?」


「その……あんまり近付かれると気が散るんだが……」


「スマホの画面じゃこれくらい近付かないと見えないじゃん。」


 尊のいつものポジション。

 床に座りベッドにもたれてスマホのゲームをしている。

 夢乃もいつもの場所。

 尊のベッドに乗り、身を乗り出して尊が遊んでいるゲームの画面に喰い付いている。


「見るだけなんて退屈じゃないか?」


「そんな事無いよ。タケ上手だから面白い。あ~……○んだ……」


 尊はスマホを少しだけ右に寄せている。

 夢乃が尊の右肩側から首を伸ばしてスマホを覗き込んでいるから。

 つまり……


(「右向いたらユメのほっぺに触れちまう……」)


 ……という距離に夢乃の顔がある。


「ちゃんと集中しないと。」


「お、おぅ……(こんなの集中出来るわけないだろ……)」


 更に夢乃が身を乗り出してスマホに顔を近付けようとした。

 つまり……


(「むむむ胸が肩に……」)


 ……となる。




(「ゲームなんてどうでもいいや……」)

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