浴後

 『江戸っ子は熱い風呂が好き』なんて何処かで聞いた事があるけど、熱い風呂が好きな人は地域関係無くいるものだ。


「あぢぃ~……」


「お前、またうちの風呂とんでもない温度にしたのか?」


 何故かほぼ毎日のように尊の家の風呂に入っていく夢乃は、風呂を上がって尊の部屋で体を冷ましている。


「いやぁ、熱々の湯船に我慢しながら入るって気持ちいいじゃん。」


「分からなくは無いけど体に悪いぞ。」


「体に悪いものこそ気持ち良かったり美味しかったりするよね。」


「それは同意。」


 夢乃は本棚に挿してあった団扇を取って扇ぐ。


「それよりもユメ……」


「ん~?なぁに?」


「その……パジャマのボタン……ちゃんと閉めろよ……」


 夢乃の着ているパジャマの胸のボタンは一番上と四番目が留まっていて二、三番目は留まっていなかった。


「これ閉めると苦しいんだよね。」


 夢乃はそう言ってボタンとボタンホール側を持ってぐっと寄せる。

 大きな左右の膨らみが体の真ん中に寄せられ強引にボタンで押さえ付けられる。


(「おぅふ……」)


「あ~無理。ボタン飛びそう。」


 諦めた夢乃がボタンを外すと膨らみが『ぽよん』と音を立てそうな勢いで弾んだ。




(「ありがとうございました……」)

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