背後
幸い重篤化もせず二日程寝て過ごすと尊の熱は下がり、いつも通りの生活に戻っていた。
いつも通りに大学に通い、いつも通りに帰宅し、いつも通りに夢乃が居てスマホで何か見てる。
「何でいつも俺の部屋に居るんだ?」
「えぇ?ダメなの?」
「ダメじゃないけど理由が知りたい。」
「自分の部屋より居心地がいいから。」
居心地と言うなら自分の部屋に勝る場所は無いと思うのだが。
「だってタケは私の部屋に来ないじゃん。」
尊が最後に夢乃の部屋に行ったのは、部屋のリフォームをした時に一時的に間借りした5年程前だった。
「殆どユメが俺の部屋に居るんだから俺がユメの部屋行っても誰も居ないじゃん。」
「確かに。」
そう言って夢乃はベッドの上に乗り込み、尊の後ろに回って尊の背中に抱き付いた。
「んっふっ!?ななな何だ?」
「へへぇ~。タケは温かいねぇ。」
尊は夢乃に抱き付かれて狼狽えつつ、背中に押し付けられる二つの柔らかい塊の感触を余す事無く記憶するのに必死になっていた。
「唐突過ぎんだろ。」
「嬉しい?」
「う、うん……」
照れてしまった尊には見えないが、夢乃は満面の笑みを浮かべていた。
(「素晴らし過ぎます……」)
検索:感触の保存法
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