転寝
眠気に任せて体を横たえ、閉じる瞼に抵抗せず落ちていくのは何とも言えない贅沢。
それに加えてそのまま何にも邪魔されずに自然と目が覚めるまで眠り続けるのは至高というもの。
「ん……?」
「おはよ。」
尊の目のピントがギリギリ合う距離にあったのは夢乃の顔。
夢乃は尊の瞼が開くのを見て柔らかい笑顔で挨拶をした。
「んぁ……?ユメ?何やってんだ?」
「タケの寝顔見てた。」
「んなもん見ても面白くないだろ。」
尊が体を起こそうとすると、夢乃が尊の肩に手を置いて布団に押し付けるように力を加えた。
「な、何だ?」
「もうちょっと。」
「何が?」
「もう少し寝顔見ていたい。」
傍から見たらキスでもしてるんじゃないかと思う程、尊に顔を近付ける夢乃。
(「ち、ちち近くね……?」)
夢乃のうっとりしたような顔を間近に見ている尊は、高鳴る心音に合わせて顔が真っ赤になっていた。
「タケ、顔赤いよ?熱でもある?」
そう言って夢乃はおでこを全開にして尊の額にくっ付けて来た。
(「マジで熱出そう……」)
「熱いね。待ってて。」
何を勘違いしたか知らないが夢乃は尊の部屋を出ていった。
(「危なかった……けど惜しいような……」)
残念が少し大きく感じた尊だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます