第21話 おはよう

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――

ん?朝か。エクロンが居ないな。カルミアはまだ寝てる。ドアが開きっぱなしで隣からイリスとエクロンの声が聞こえる。あの子が先に起きてメイド達と遊んでるんだろうな。


一旦トイレに行ってドアを閉め、また布団に戻る。


カルミアが身体を丸めて寝ている。普段から彼女が美麗なのは感じるが、寝ている姿というのは際立って絵になるものだ。


喧嘩するほど仲が良いとか、喧嘩は夫婦関係を良くするだとか、あながち間違っちゃいないんだな。お互い言い辛い心の内を見せると、より理解出来てより愛おしくなるものなのか。


何か勝手にの夫婦としての関係性になってないか?別に愛し合う関係な訳では無いはずなんだけど。まぁ面白いからいいか。


最近色々起こって居るお陰で、状況を楽しむという対応力を身に着けた。漫画のような展開が起こったら、主人公になりきって楽しむ。これで大抵のことは何とかなると気づいた。


だから今は夫婦になりきったり、父親になりきって過ごしている。勿論本当にその立場でいる方々には敵わないが、職業体験みたいに学べることも多くて楽しい。


というわけで仲直りした嫁さんが隣ですやすや。やることと言ったら一つ。寝顔を撮る。撮りたいけど、、、スマホ無いんだよなぁこの世界。


光魔法の応用で写真だとか、情景を記録するとか出来ないかな。はがき大の紙を対象と自分の間に置いて、紙に魔法かければ行けるんじゃ?周りの光を吸収して紙の上に現像する。


お、、、?きた!

すげぇ、まるで4K画像。こんなに簡単に新しい魔法って出来て良いんだっけ。


「綺麗だな」

画質も、被写体も。これは起きたらカルミアに見せてあげよう。いや、でも見せたら恥ずかしがって保存するなって言うかな。でもそれも良いな。


まだ寝てるのかな。そろそろ起こして朝ご飯にしようか。フレンチトーストを一緒に作ろう。


ん?何か顔赤い?口元もなんかもごもごしてる。もしかして起きてるのか?起き出すタイミングが見つからなくなってるのかな。


これもまた面白いな。可愛いって言ってみたらどんな反応するだろう。


「可愛い、、、っつ」

俺が可愛いといった途端、彼女がびくっと跳ねて、口元にキュッと力が入る。みるみるうちに顔や全身が桃色に火照っていく。

頑張って寝た振りをしている様子が面白くて思わず笑ってしまう。


さて、意地悪もこのあたりにして起きよう。彼女が起きていることをまるで知らないかのように、肩を揺らして起こす。


「おはよう。起きて。もう朝だよ」

「ぅ〜ん?あ、おはようございます」


「っく…ははっ」

「もしかして、、、気付いてたんですか?!分かっててからかったんですか?!」

「ごめんて…面白くてつい」

「後、あのはがき、他の人には見せないでください」


朝から沢山笑って、良い一日になりそうだ。

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