第20話 人となり

「この子がどうしてもって言って聞かなくて、ごめんなさい」

いつもの優しい声より少し悲しそうな声色のカルミアが言う。


「ううん。全然大丈夫それより、、、」

「皆で寝るの初めてだね〜ふたりとも早く来て!僕が真ん中ね」


二人で話すのはこの子が落ち着いたあとにしよう。


「ふたりとも大好きだよ。おやすみ〜」

あっという間に静かになって、幸せそうな顔をしている。心なしか空気が和らいだ気がする。




「今日の朝のことなんだけどさ。イリスさんがエクロンに教えた魔法を覚えたらしくて、それで俺を驚かせようとして、ああなっちゃったんだ。勘違いさせてごめんね」


「私こそ、ごめんなさい。優斗さんがそんな事するはず無いのに疑ってしまいました。正直、、、嫉妬してたんです。

私とは…いえ、私が幼稚だったせいです」


「カルミアさんが怒ってないなら良かった」



「…仲直りした?」

「わっ?!エクロン?まだ起きていたの?」


さっきまで俺達の間で静かに目を閉じていたエクロンが突然。それに吃驚してカルミアが声を上げる。


してやられた。一緒に寝るのも、二人で話す機会を作るためで、全てはエクロンによる”パパママ仲直り大作戦"の策中だったわけだ。してやられたというか、お陰様でと言うべきだろうか。


この子の凄さには毎度驚かされる。幼い子供ながらに、周りを理解し行動が出来る。天使という事を加味しても並大抵のものじゃない。


「ねえ、僕たち仲良し?」

少し不安そうにエクロンが尋ねる。

「うん。ありがとうね。心配してくれて」

「ごめんな。心配かけて。大丈夫だよ」

「じゃあぎゅーしよ!ほら」


エクロンのなすがまま、二人が抱き寄せられる。子供のこういう姿がたまらなく愛しいんだろうと心底思う。


今度こそ、安心してすやすやと寝息を立てて寝ている。可愛いな寝顔を見ていると思わず撫でたくなる。


そっと頭に触れると、ほぼ同時にカルミアも手を乗せ、互いの手が触れる。


「幸せですね」

「そうだね」


「明日の朝はフレンチトーストにしましょうか。好きでしたよね」

「いいね、お出かけも行きたいな」

「そうですね、家具やさんに行きたいです。新しいベッド買いましょう」


新しいベッド?今のは壊れたりしてない筈だけど。


「三人で寝るにはこのベッドは少し小さいですから。大きめのものを買いましょう」




また明日。おやすみなさい。

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