第22話 日常はあっという間に

「エクロン夜ご飯食べよ〜」

日本より四季の寒暖差が少ないこのフリーメシアでも、少し肌寒くなって来た頃。時としてエクロンが来てからもう半年と少し経った頃。


今まで笑いあり涙…は無かった幸せな日常を過ごしてきた。日常が過ぎる速度は速いもので、なんだか儚く感じる。


「今日市場にみかん売ってたね。フリーメシアにもみかんってあるんだね」

「はい、私もびっくりしましたもうこんな時期になったんだなと」

「みかんたべたい」

「今度行ったとき買おうか」


「そういえばエクロン、魔法の調子は最近どう?新しく教えた光魔法も何個か使えるようになった?」


「教えてもらったやつは一応全部出来るようになったよ。偶にミスするときもあるけど」


「まじか、凄いな。流石エクロン。ステータスはどう?あ、ステータスは俺しか見れないんだったっけ。ちょっとこっち来て。はい、手握って」


「そのステータスというものって、どんな感じに見えてるんですか?」


「う〜んとね、難しいな。表みたいな感じで魔法とかが書いてあって、それぞれレベルみたいなのがあるんだよね。魔法使うのが上手になればなるほどそれが上がるみたいな」


所謂RPG系のゲームのやつ。でもレベルは数値として出ているだけで、実際には練度みたいな感覚に近い。レベルが上がると格段に上達する訳でも無いし、ただ使うだけでレベルが上がる訳でもない。本当に練度が数値化されただけというイメージ。


お?大分上がってるな。光魔法においては彼が天使だからか、彼の才能からか、常人とは違う成長度が見られる。


逆にこの才能は光魔法だけに限っているのも面白いところだ。他の魔法は全くと言っていいほど習得が出来ていない。闇魔法が出来ないとかならまだ予想できるが、本当に光魔法だけというのだから不思議だ。


本人は光魔法で十分満足しているし、強い、便利な魔法も沢山あるもんだから一つに秀でていてよかったと思う。


「明日は久しぶりに実践してみるか。明日って用事なかったよね?」

「あいてます。じゃあ明日はお弁当用意しますね」

「ありがとう」




「おやすみ」

少し肌寒いおかげで、家族と一つの布団で寝るのがより一層幸せに感じる。こうしてベッドに入った後にカルミアと談笑するのも日課の一つになっている。エクロンを中心に生活しているから、彼女に魔法を教えることが出来ていないから魔法についての話をしたりしている。


「そういえば、優斗さんって私のステータス見たことないですよね。どんな感じか見てほしいです」

「確かに。じゃあ手だして」


「、、、どうですか?」

「綺麗だね」

「っつ!?ちょっと、何ですか急に!」

「いや、魔法の属性もレベルも整ってて綺麗だなって。おぉ、結構珍しいのも持ってるんだね、何でもできるんだな」

「そうですか、、、ありがとうございます」


あれ?なんかちょっと拗ねてる?俺素直に褒めただけなのにな。


半年以上たっても俺にはまだまだのびしろがありそうだ。


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