第18話 ばぁ!

もうこんな時間か、カルミアと国王は話を済ませられただろうか。エクロンの世話について話し合いたいんだが。


「カルミア、、、ママの部屋に行こうか」


コンコン―――失礼しますよ


わお。これまた何これ。

「あ、戻ったんですね。待ってましたよ」

そこには子供服やら、おもちゃやら、大量の子供用品とそれをせっせと整理しているカルミアが居た。


国王か。俺が越して来た時も、毎度手が早いな。このお城には何でもあるのか。


あれ?待って、俺まだここに来てから一日しか経っていない?余りに色々起き過ぎて長く感じる。そして凄いな俺の適応力。


「この子どうしようか。もう遅いから寝かせたほうが良いかなと思うんだけど」

「私が一緒に寝ましょうか。色々話したいですし」


エクロンをカルミアに任せて自室に戻る。非日常に足を踏み入れた様な高揚感でふわふわしている。大変な事もあるだろうけどこれから楽しみだな。




――――はぁ、眠いな。


エクロンが来てから一週間程が経った。あの子を風呂に入れたり、寝かし付けたり、多少大変なことはあるものの、毎日がとても面白い。エクロンは年相応に“なぜ?なに?”と疑問を持つことが多い。それでいて理解力は高いから教えるとすぐ納得してくれる。謎が解けて嬉しそうにしている顔を見ると、こっちまで嬉しくなるし、教えるのが楽しくなる。


でも、こうして静かな部屋でゆっくり休むのもいい。王城での生活に慣れるのと、子育てを同時にこなすのは少しきつい。


正直カルミアに甘えていると言われれば否定はできない。彼女は面倒見が良く、仲の深い数人のメイド達と和気藹々と世話をしている。彼女がやらせてと言うから任せてはいるけど、申し訳ないなと思う。


せめて一緒に居よう。


―――ドスッ

あれ?俺そんなに疲れてるのか?立ち上がろうとしたらベッドに倒れこんでしまった。体も何かがのしかかっている様に重い。自覚出来てなかったな。動けない。助けを呼ぼうにも、ドアが閉まっていてはこの城じゃあ声が届かな、、、?ドア開いてる?


「ばぁ!」

「わあぁ!?ちょっと!何やってんすか!」

突如目の前に見知ったメイドの姿が現れた。疲れていたのは気のせいで、イリスさんに押し倒されていただけだった。だけ?一大事だろ。傍から見たら完全にまずい状況になってる。離れさせないと、、、

「ねえ、びっくりしました?この前エクロン君に透明化の魔法教えてたでしょ?私もそれ聞いてて、試してみたら出来ちゃったんです。すごいでしょ」

それはすごいけど、早くどいてくれぇ。


「優斗さん。ちょっとエクロンを、、、え?」


あああぁもう、最悪。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る