第16話 エクロン
「僕の名前はエクロン。てんかい?って言う所からきました」
その天使の羽を持つ少年はそういいながら手を差し出してきた。
予想外のことが起きすぎて、頭の整理がつかずカルミアと目を合わせる。ともかくエクロンという少年と握手を交わし、話を聞いてみることにした。
―――「つまりは、修行のためにこっちに来たってこと?」
「そうです。これからよろしくお願いします」
この少年は、カルミアの魔法が天界に届いて、“偉い人”に選ばれてここに来たという。彼は孤児で、
「これから俺たちが、この子の親、、、?」
俺もカルミアも状況が理解出来ていない。親になる。と言っても、普通の子育てとは全く違うだろう。ここまでエクロンと話してきて、思ったのは、子供らしさがない。
体格や喋り方なんかは完全に十歳の男の子だが、おそらく人間と天使では精神年齢が違うのだろう。ませているという次元じゃなく、大人らしい。
だからきっと本当の子育てよりは何倍も簡単で安心できるものなんだろうが、いきなり過ぎて吃驚している。
俺と共に床に座り込んでいるカルミアと、どうしようかと話をするが、彼女は案外乗り気らしい。俺に関しては、前世で妹がいたから多少は慣れているし心得もあるから大丈夫なはず。
そんなこんなで、突然王女のお嫁さんと天使の息子を持つ父(仮)になってしまった。
「あ、じゃあ俺達夫婦…?」
「、、、!?そ、そうですね…」
思ったことが口に出てしまった。でもカルミアも顔を赤く染めてまんざらでもなさそうなので、このまま流そう。きっと彼女も家族は欲しかっただろうから。
取り敢えず、、、国王には報告しないと不味いだろうな。
「カルミア〜入って良いか?」
噂をすればだ。でも事情を話さずここを見られたら、、、
―――ガチャ
「……二人共、いつ?!」
絶対誤解してる。これまた面倒くさいぞ。
俺が説明をしようとすると、カルミアが俺を止め、任せて。という顔をした。
エクロンを看といてと言ってカルミアは国王を連れて部屋を出ていった。彼女も少し抜けているところがあるから勘違いが悪化しないか少し不安でもあるが、家族が説明したほうが都合が良いだろうから任せよう。
俺はエクロンと話を続けることにしよう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます