第7話 ようやく

城に来てどれくらい経っただろうか。大体三か月ほどかな。この間俺は寝る間を惜しんで魔法を作り続けた。


そしてようやく、完成まであと一歩のところまできた。


だがここが一番肝心なのだ。それは、魔法のについて。


この天堂魔法には強い能力であればあるほど、大きな代償が必要になるようだ。


俺は魔法を新しく構築するから、代償の内容も大方考えられる。どうすれば良いだろう。出来るだけ影響が少ないものにしたいが、、、


誰かの命は駄目だ。無限ループになる。それ以外に何が有るだろうか。時間とか、寿命とかかな。


出来れば俺自身で完結できる様にしたい。


こうすれば。誰も損しない。俺は記憶で何とかしよう。


代償は、俺の三年間の肉体的経過と、能力。


まず俺三年間で取得したすべてのスキルと魔法は無かった事になる。そして鍛えた体も。


つまりは振り出しだ。俺が一番最初に転生したあの瞬間に戻る。でも、問題はない。


記憶は残るようにしておいた。俺は今まで習得したスキルは大体覚えているし、使いたくなったらまた覚えるなり作るなりすればいい。


肉体の状態は、まあ何とかなる。実際ただ三年前に戻るだけだからな。少し若返ったと思って良しとしよう。


後はこれらの設定を魔法陣に組み込むだけ。

そうすれば、、、完成だ…!


ようやくだ。ようやくカルミアを復活させられる。まずは国王に報告しに行こう。


「国王!完成しました!」

「本当か!?まさか私の夢が現実になる時が来るなんてな。ユウト、本当に有難う。感謝してもし切れない」

「感謝するのはカルミアが戻って来てからにしてくださいよ」

「あぁ、そうじゃな。早速始めるか」

「えぇ、やりましょう」


ここは、とある洞窟の中にある祭壇。明かりを灯さないと何も見えない。懐かしいな。


俺を召喚した時、カルミアはここで俺と入れ替わるように消えたらしい。


今度は俺が、彼女を呼ぶ番だ。


「αναβίωση」


「ウ、うヴゥ、、」

いぃ、痛い、、、体が、燃えるような痛みだ。これも代償だろう。国王が不安で仕方ないような、情けない顔で俺を見ている。


大丈夫。もうすぐ。


祭壇の中心が、淡い光に包まれたと思えば、太陽のように眩しく光った。


光の中に人影が顕れ、光は徐々に消えていく。

上手く行った。


目の前には意識を失った女性が、祭壇に横たわっている。国王が彼女のもとへ駆け寄る。俺もそれと共に寄る。


本当に綺麗な女性だ。肩より少し下まで伸びた黒髪と、暖みのある艷やかな肌。年は18だと国王から聞いていたが、それにしては整いのある大人びたスタイルをしている。


こんな女性を一度でも生贄にしてしまった自分に罪悪感が降り懸る。それ程に美しかった。


彼女の意識が戻るまで、しばらく待って居よう。












【筆者の独り言】

ここまでこの作品を読み進めてくださりありがとうございます。筆者です。タイトルにもある通りようやく主人公以外のメインキャラが出てきました。ラブコメと謳っているのに全然ヒロインが出てこず書いている私自身「早くヒロイン出せ」と思っていました。まあ、やっと出てきたので、これからですかね。話は変わって、自分語りになりますが、私は学生で、書くことなんて超初心者なので、誤字脱字や設定ミスなんかも多いと思うのでミスしていたら言っていただけると幸いです。皆さんが読んでくださっているだけでかなり励みになっています。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る