第6話 謁見



結局あまり寝られなかった。寝られない理由も増えた。思い立ったことを試したくてそのことばかり考えてしまう。


こんなにも分かりやすく、誘導されている様に事と事が繋がれば嫌でも思いつく。


この世を去った人の蘇生。それが、この天堂魔法なら、可能なのではないか。多くの魔法を作って来た俺なら、作り上げられるのでは。


もう居ても立っても居られない。だが今の俺には研究には足りないものが多過ぎる。書物も実験道具も、何一つない。それに、魔法を作るのは他でもない、王女のためだ。


今足りないものを手に入れるには方法は一つ。王城に行くことだ。このことを国王に説明しよう。あの人も賛成してくれるはずだ。恐らくだが彼の孫である王女様を取り戻せるかもしれないのだから。





「国王、とある青年が国王に会いたいと城に来ております。」

「私の知り合いかね?」

「いえ、それがわからないのですが、彼と同じ名を、、、」

「!?…そうか、分かった、通してくれ」


「君が私に会いに来た者かね?」

久々に見ても変わっていないな。あの慈愛に満ちた優しそうな眼はそのままだ。


「お久しぶりです。」

「やはり、君だったか。この一年間いったい何をしていたんだ?魔王を倒してすぐに居なくなって。」

「まぁ、色々ありまして、、、」

「そうか、深くは聞くまい。それより今は勇者復活の式典を開こう」


まずい。俺が勇者だった事は隠しておきたい。止めないと。

「ぁ、あのですね国王。俺が勇者だった事は口外しないで欲しいんです。どうも身動きが取りにくいので」

「そうじゃったか。すまんね、君は以前も自由が欲しいと言っておったね。そういう事なら何も言わないでおくよ」

国王は申し訳なさそうに言った。国王にしてはしおらしすぎる。なんだか以前の威厳がない。


「ところで、君はなぜ今になって私に会いに来たんだ?」


そうだった、肝心の本題をすっかり忘れていた。

「実は、私のとある研究の支援をして頂きたいんです」

「ほう、それはいったい何の?」

「死者の復活です」

「!?、、君まさか…」

「はい。王女様を復活させるつもりです」


「君が罪悪感で悲しむのは見たく無いがため、伝えていなかったが、案の定か。

こんなことを言うのは国を束ねる王として有ってはならないことだが、私は期待してしまっていたのだ」

「君が、カルミアの存在に気が付き、いずれ取り戻してくれるのでは。とね」

「だから、君が欲しいと思う物なら何でも手に入れよう。その準備はもう出来ているよ」


「本当ですか!ありがとうございます」


「感謝するのは私のほうだ。むしろすまない。私はいつも君に頼りっきりだ」

「いえいえ、そんなことないですよ。必ずカルミアさんを取り戻します」



こうして俺はカルミアの復活のため研究を進めた。

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