第2話 帰界と離界
ある日の朝、時として転生から二年と少しのこと。
懐かしい天井。目覚めてこの景色を見た途端、とめどなく涙が溢れてきた。現実の世界だ。
確かめなければならない事がある。異世界では確かに二年ばかり過ごした。こっちでも二年経っていたら……
枕元にあるスマホに手を伸ばし、画面をつけてみる。日時を確認した途端、鳥肌が立つ感覚が全身に奔る。
画面に映る日時は、確かにニ年前の俺がトラックに轢かれ、転生したその日だった。
母には体調が悪いと伝え、また寝床に戻った。正直母を見た
トラックに轢かれた所からすでに夢の中で、あの二年間もただの長い夢だった、なんてオチなんだろうか。
暫く
試しにニュースでも見てみるか。二年前の記憶で、あまりはっきり覚えていないが何か知っている情報が有るかもしれない。二年前の世界と同じことがあったら、戻って来たという
テレビの電源を付け、ニュース番組を開く。あの頃はたしか選挙が有って、それらの記事が多かった気がする。
今映っている物も選挙についてだ。これは、以前通りの世界だと信じて良いのか?
速報のニュースだ。こういうのは二年前の俺も知らないからあまり意味はないな、、!?
交通事故のニュースだ。どうやら、歩道にトラックが追突したらしい。脳内にあの記憶が蘇る。身の毛がよだつ感覚、死を悟るあの瞬間。
痛みすら感じぬ衝撃。
俺が轢かれたトラックだ。場所も同じ。時刻もピッタリ同じ。考えがまとまらない。
死傷者は居ない。そうニュースは伝えている。俺が居なかったからか?もし俺が登校していたら、轢かれてしまっていただろうか。
一度落ち着いて整理してみよう。
まず、俺が転生する前、トラックに轢かれた。これがまず間違いだったのではないか。俺はあの時確かに痛みを感じていない。
あり得る可能性としては奇跡的に、轢かれる寸前に転生した。というものだろう。
予知夢の可能性もある。でもここまで正確とは思えない。
こんなことが本当に起こるなんて。転生に事故に、何もかもが
現実世界に戻ってから一年が経った。
転生
友達は居るけれど、親友とは言えない人ばかり。俺が居なくても支障はそんなに無いんだろうな。と、そう思えてしまうくらいの関係。
普通に親友と呼べる人は欲しいが、それより今は現実世界のことを思い出し、馴染む事の方が優先だと思っている。
今やあの転生はただの夢だったと思っている。
今日も普通の一日だった。なにか楽しいことは無いのだろうか。そんなことを考えながら、また今日も眠りに就く。
プツンー−−
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