第2話 海外からの依頼
ある時、水瀬は上司に呼び出された。
『シヴァ、お前への依頼だ。こいつを殺せだとよ。5日以内にだと。』『ほう、密輸王ファンケル、【リオ・グランデ】のトップか。これはまた大物だな。』『やれるか?』『ああ、組織の判断だからな。』『頼むぞ。』
普段なら相手の背後を取るのが得策だが、今回は時間が制限されている。そこで水瀬はある男と連絡を取っていた。
この世に夜の帷が降りる頃、水瀬は裏路地にいた。『久しぶりだな、ヤス』『シヴァさんも元気そうで。』この男の名は九十九泰明(つくもやすあき)、組織お抱えの凄腕情報屋だ。『あの件について何か掴めたか?』『ええ、バッチリです。リオの本部はブラジルにあります。ただ、巨大組織だからそのまま突っ込むのは流石のシヴァさんと言えど、なかなかに厳しいでしょう。ただ3日後の晩、奴らは勢力拡大を求めて日本のブラックマーケットに進出の下見としてそこに来るみたいなんです。』『つまり、狙うならそこか。』『はい、ただ確実に護衛をつけているだろうからお気をつけて。』『ああ、情報感謝する。金はいつものところに振り込んでおく。』『どうも。』
そうして3日後の夕方、天龍街(てんりゅうがい)の繁華街に来ていた。ここ、天龍街は周りの繁華街に比べて特筆として規模が大きいわけではない。だがしかし、それは表の顔である。裏社会においては日本最大のブラックマーケットが開かれる、裏社会の人間にとってはとても重要な場所だ。ヤスの情報では今日ここに【リオ・グランデ】のボス、ファンケルが下見に来るらしい。『まぁ、待つならここだよな。』水瀬が選んだのはブラックマーケットが行われる会場を上から一望できるマンションの屋上だった。『もう数時間で奴が来るだろう。俺の前に姿を現したが最後だ。』シヴァの視力は鷹並だ。どんな奴でも百発百中で視認できる。シヴァは屋上でマーケットの監視を続けた。そうして3時間ほど見張りを続けていたころ水瀬の目が何かを捉えた。『きやがったか…………』表口の門から青いスーツを着た茶肌の男が歩いてきた。しかも黒スーツを着た護衛を3人もつけている。
『わざわざ3人も護衛をつけちゃって。まぁ、俺にとっては時間稼ぎにもならん。』シヴァはダッシュで階段を駆け降りていった。
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