未練が甘い味になれば

「どうしてこうなったぁぁぁ」


気づいた頃には見覚えのない調理室の中にいた。


「え、私登校してたよね?ここどこ!?」


「ここは僕が作り出した『ドキドキ!バレンタインチョコ調理室』さ」


「なんなんだよぉさっきから変なことばっかだよぉ」


「さぁ、僕と一緒に愛のあるチョコを作ろうか」


うざいしなんか気持ち悪いよこの人、なんなのもう


「君はどうしてそんなにバレンタインを嫌がるんだい?」


「だって、私なんかが渡しても迷惑だと思うし、それに昔好きな人にチョコ渡した時にいらないとか困るとか言われたから、もうそんな傷つくこと言われたくない」


「そっかそっか、そういう昔のトラウマはきっかけがなければなかなか変われないからね」


「あなただってそう思うんでしょ?だから私は渡さない」


私がそう言うとヴァレンタインはふむとと腕を組んだかと思うとはぁとため息を1つついた。


「きっかけが欲しいのなら、もうきっかけにしては大きいことが起きているじゃないか」


「へ?なにかあった?」


「僕との出会いじゃないか。普通バレンタインの精霊となんか出会うものじゃないよ?これでもきっかけでは無いと言うのかい?」


「た、確かにそんなこと言われたらそうかもだけど…」


きっかけにしてはこんなこと、おかしすぎるくらいだけど、確かにいい機会かもしれない。


「わかった。とりあえず作るだけなら」


「よしきた、では僕と一緒にチョコを作ろうか」


こうしてチョコ作りが始まった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る