解放感のある気まずさ

 自分の気持ちを言った日から、ボクの寮にはヒナ姉ちゃんが来なくなった。


「身内にね。自分の気持ちを打ち明けるのって、こういうことよ」


 代わりに長門さんが来るようになった。

 窓ガラスは、長門さんが弁償することになったけど、本人はヘラヘラ笑うだけで、「いいんじゃね?」と言っていた。


 松葉杖を突いて、階段を上がるのは楽じゃない。


 長門さんが横から支えて、ゆっくりと上がっていく。

 疲れるし、息切れはするし、大変だ。


 でも、やっと自分の足で歩けている気がした。


「どうせ。話す機会なんて、これからあるだろうからさ。その時に、今までと違う形で、話してみたら?」

「……うん。そうする」


 やる事は山積み。


 自分の気持ちに嘘を吐かないのは、代償はあるけれど。

 素直になるのは、やっぱり大事なことだと痛感している。


 今の自分の気持ちが軽いのは、何よりの証拠だ。

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