ハルくんだって、変わってくる

 現代文の授業を受けているとき、隣で「てゅっふふふ」と笑い声が聞こえた。


「やべ。マジかよ。くぅ、あいつ、また見てる」


 目だけをリクくんに向ける。


「……ヤリてぇ。絶対に、誘ってるよ。あいつ、誘ってる」


 ボクは疲れ切って、それどころじゃない。

 いきなり、「エマ先生がペットになりたい」、とか言うから、宥めるのに必死だった。


 というか、気のせいでなければ、ボクの周囲の女子がどんどんおかしくなってきている。


 天使だったはずのエマ先生は、変態天使になった。

 でも、本当に可愛らしい人なので、嫌いになれないのだ。


 一方で、ヒナ姉ちゃんは、顔を合わせる度に、不機嫌になっていく。


 さらに、現在リクくんが視線を送っている相手は、乙女のデリカシーというものが、まあ、ない。

 以前より、急激に距離が近くなっていて、長門さんはずっとボクを見てくるようになった。


 正直に、言わせてもらいたい。


 


 男は長時間、アソコが目覚めすぎると、痛いのだ。

 つまり、出すもの出した方が、本当に気が抜けるし、楽になれる。

 この辺はいやらしい気持ち抜きに、生物学上の問題だ。


「どうしよっかなぁ。声掛けよっかなぁ」

「やめといた方がいいよ」

「んだよ。お前、長門のこと好きなんか?」

「好きじゃねえよ」

「……え?」

「あ、ごめん。何でもない」


 まずい。

 段々と、ボクまで余裕がなくなってきた。


 つい、自分らしくない一言を放ってしまい、冷や汗を掻く。

 深呼吸をして、ボクは黒板の内容をノートに書いた。

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