我慢の限界
我慢爆発
長椅子に二人で並んで座り、気まずい時間が流れる。
「まさか、ハルくん。……私のこと、そう思っていたなんて」
「ち、違うんです。これは」
「違うんですか?」
「うぅ」
顔を覗きこまれ、黙ってしまう。
「非常に残念ですが、お付き合いはできません」
「はい。そうですよね」
だって、シスターだもん。
交際ってなったら、色々と面倒くさいんだろう。
いや、年齢のこともあるんだろうけど。
「ですが、……お力にはなります」
膝に手を置かれた。
「私に、できることがあれば。なんなりと」
「や、大丈夫です。はい」
ていうか、分かっていたけど。
フラれたショックが思いのほか大きすぎて、死にそうだった。
「ハルくん」
手を握られ、視線を向ける。
エマ先生は真剣な表情で言った。
「れ、連絡先、教えてください」
――それは、……アリなんだろうか。
交際はダメで、もちろん結婚とかは、もっと面倒くさいだろう。
しかし、連絡先を聞いてくるとは、一体どういうことだろう。
「私、その、……こんな事言うと、きっと、気持ち悪がられると思いますが……」
「は、はい」
「ハルくんの、……ペットになりたいです」
拳を口に当て、少し考える。
ペット?
犬とか猫とか、あのペット?
「ん~~~~?」
「私、真剣なんです。毎日、ご主人様の匂い嗅いで、ご褒美貰いたいです」
「ちょ、ちょっと、エマ先生! 何言ってるか分かってるんですか!?」
「……わ、わん」
犬の方か。
「もう、もうっ、ずっっっと、我慢してきたんです!」
「お、落ち着いて。お願いですから。誰かに聞かれたら、マズいですよ」
「私、ハルくんが好きです」
「……はぁ、はぁ、……ちょ、訳が、分からないよ」
「でも、修道に身を捧げた立場から、お付き合いはできません。ですが、その、……休みの日とか、たまにでいいんです」
エマ先生は、決してふざけてるわけではなかった。
顔を赤らめながら、真剣に目を見て、ある意味結婚以上の告白を口にする。
「私を、……飼ってください」
手を両手で握りしめられる。
「――ご主人様」
気絶しそうだった。
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