桑名 エマ

「では、お祈りを始めましょう」


 お祈りを指導してくれる先生がいる。

 その人は、ボクの大好きな先生。

 名前は、桑名くわなエマ。


「天におられる、私たちの父よ」


 エマ先生の言葉を生徒たちが復唱し、ゆっくりとお祈りを捧げて、言葉を覚えていく。


「み名が聖とされますように。み国がきますように――」


 柔らかくて、物静かな声色。

 聞いていると、子守歌を聞いているようで、つい眠くなってしまう。


 柔らかな声は、耳をくすぐるような優しさがあった。


 ボクはうっとりとして、エマ先生の姿を眺めた。


 黒い修道服に身を包み、フードからは金色の長い髪の毛がはみ出ていた。

 背中まである長い髪は、さらさらとしていて、服に引っ付いたりせず、少しの動きで流れるように揺らぐ。


 修道服は体に吸い付くような作りになっていて、綺麗な体の曲線が浮き彫りになっている。


 中央がくびれており、上下が大きく膨らみ、プロポーションがとても美しかった。


 普段から、おっとりとしている人なので、ボクはエマ先生が怒った所を未だに見たことがないし、ヒナ姉ちゃんも見たことがないという。


 天使のような人で、ボクは異性としてエマ先生が好きだ。


「はい。みなさん、よくできました」


 ぱあっ、と花開くような笑顔には、後光が差していた。

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