ABOUT YOU
デート中のカフェ内で、おふざけしたら(生きて)帰れま
えげつねぇな。
『それがいいたいだけでしょ』
そーですね!
ってことで、バカなことを言った僕は、赤音ちゃんの覇王な色を纏うオーラを見ておふざけモードを解除しなければならないのだ。
余は正に大後悔時代!
『本当に解除してる?』
おういえ、緊張してるだけさ……。
ってなわけで無難な選択肢をチョイス。
「す、好きな食べ物と嫌いな食べ物は?」
「好きなのは、激甘スイーツとか、激辛料理とか、極端なのが好きだな。パンチが効いてるっていうか、そんなやつ。嫌いなのは極端な味って言ったけどスーパーテイスターなのか苦味だけはダメなんだ」
「へぇ」
スーパーテイスターってあれよな。
味覚が過敏な人。
苦味感じる野菜とか、コーヒーとかダメなんだっけ。
んじゃ、僕の頼んだコーヒー嫌いじゃん。
どっかのバーチャルアイドルみたく『じゃあ敵だね』とか圧かけてこないよな?
「湖文は?」
「オクラとか、納豆とか、トロロとか、ネバネバ系の食べ物が好きかなあ……。嫌いなものは、うーん僕もコーヒーは大丈夫だけど苦味ある野菜は苦手なのあるかな。青菜とかゴーヤとか」
「ほう。覚えたぞ。ケンカになったら湖文にだけ用意してやるから覚悟しろ?」
「絶対それ、自分のには入れないやつだよね?」
「当然!」
「おうふ!」
「次は俺が質問する番だな。好きなゲームは?」
「うーん、何だろう。サイコロ振る系のボードゲームは結構好きかも」
「へえ、ガチャゲー大好き湖文くんは、運ゲー系が大好きと」
「聞くまでもなく赤音ちゃんは格闘ゲームが好きだよね?」
「当然! まあ、俺の一番好きなゲームがたまたま格闘ゲームだったっていうこともあるけどな」
「前回のデートで紹介してもらったけど、赤音ちゃんが好きなフォビドゥン・ライフって純粋な格闘ゲームファンよりも他でファンを増やしたゲームだよね」
格闘ゲームのルーツとなる作品ではないものの、今やメジャーなタイトルとして挙げられるフォビドゥン・ライフ。
とうとうナンバリングも『3』が発売され、そのストーリー、音楽、世界観と、格闘ゲーム好きじゃなくても人気があるのが特徴だ。
まあ、僕も格闘ゲーム好きではないけど、動画配信なら見ていたくらいには魅力のあるコンテンツだ。
実際にプレイするとなると尻込みしてしまうけれども。
『にわか乙』
くそう! もっちゃんめ!
僕も好きでにわかになったんじゃないやい!
「湖文は動画勢だもんな〜。家追い出されてネカフェ暮らししてたらそりゃ動画の方が見てるか〜。残念だな〜」
赤音ちゃんまで棘のある言い方しなくてもいいんだよ?
「まあ、僕がアニメ動画見漁ってたり、バーチャルアイドルのやっていたことを一緒になって楽しんでいたことは認めよう! でもそれが――」
「お待たせしました〜」
コーヒーが僕の前に置かれた。
とりあえず、ズズズ……。
「で、何だっけ?」
「俺が知るかよ……」
がっくしと項垂れる赤音ちゃん。
「まあ、いいや。湖文はそんなにバーチャルアイドルが好きなのか?」
「色々と見ていたからお気に入りは多いけど、一番は企業に入ってない個人勢のVが好きだったな〜」
「ほう? どんなやつなんだ?」
「にわかを極めますみたいな方向性で、色んなジャンルに手を出す悪食系Vの
こんしろ〜♪
おつしろ〜♪
ここに、てぇてぇ城を建てよう。
御城は難攻不落に決まってんだろ!? おぉん!?
そんな名言を残した彼女は僕の最推しであり、僕は
まあ、もっちゃんが眠れない僕にオススメしてくれたコンテンツってこともあったけどさ。
『難攻不落♪』
もっちゃんも建築士だもんね〜。
『ね〜』
「んで、そいつがフォビドゥン・ライフやってたのか?」
「まーね。彼女がランクマッチ最上位の『天界』目指してチャレンジしてたから、ついでにプロゲーマーのヒカル王子って人の対戦動画とかも見てたね」
紳士キャラで通しているイケボプロゲーマーだ。
「あー、ヒカル王子は、いたな。実は俺、あいつに全勝してるんだけど、あいつ俺との対戦動画はアップしてないんだよな〜。やっぱ汚点とか思って発表しないのかね? そうだとすれば期待外れだったかな。そういう奴って、加速だけ凄くて伸びないタイプだし」
「マジか……。礼儀正しい人の影の部分を聞かされてる気分……」
「あー、でも俺の勘違いや、偽物って可能性もあるし、話半分で聞いてくれや!」
「そうしとくよ。じゃあ、話題変更ってことで座右の銘なんてどう?」
「湖文は聞かなくても運否天賦って言いそうだな」
「そりゃ、人生ガチャっすから!」
日常がガチャだったはず!
って言われるほどにガチャの念能力に目覚めたい。
ああ、それ何てクレイジースロット?
「へっ、その内、俺の座右の銘を共有させてやるからな?」
「さて、崇高な赤音ちゃんの座右の銘を僕に共有させるなんて無理ゲーな予感しかしないんだけど?」
「ま、いつか教えてやるぜ。おっと、パフェも来たみたいだ」
「お待たせしました〜」
「おお、シェアする前提だから中々の大きさだね。いや、あれ? これって大食いチャレンジレベルじゃないの?」
普通のパフェの5倍くらいないか!?
「取り敢えず、一口。ん〜、んまいっ!」
スプーンを咥えつつ、頬に手を当てて喜んでいる赤音ちゃん。
満足そうで何よりです。
あー、でもこれ、僕、半分食えるかな……。
「そんなに心配しなくても分けてやるって!」
いや、そっちの心配はしてないんだけど……。
「ほれっ! あーんっ!」
めっちゃ口に咥えてたスプーンにこんもりとのせられたパフェ。
いや、のってるパフェよりも赤音ちゃんの……間接キ……。
思考がバグってる間に僕の口へとスプーンが運ばれる。
僕も自然と口を開けて赤音ちゃんの唾液の味を探し当てる旅に出る。
瞼を閉じて全集中……。
湖文ゾーンに突入するしかぬぇ……。
『最低の極みだね』
スプーンは僕の口から離れていく。
僕は舌を転がすように味わう。
そんな中で粘膜のような感触が触れたような気がして僕は覚醒する。
我は汝、汝は我
汝、己が双眸を見開き、今こそ発せよ!
カッ!
ペル○ナごっこをして、僕の中のもう一人の僕が出現したかと思ったけど、別にそんなことはなかったぜ。
「へ?」
僕は目の前の光景を見て上ずった声が出た。
「お? パフェならもうやらねーぞ?」
「いや、やらないってか、やれないでしょ。それ」
何故かもう最後の一口になっている。
あれ? 過程を消し飛ばすスタンド攻撃でも受けたのか?
「何か一口で満足してるみてーだから、いいよな?」
「うん、まあ……」
取り敢えず、赤音ちゃんが満足してるみたいだし、間接キスも堪能できたし、それでいっかと思いましたマル。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます