5
「来た来た‼ ボクの半身!」
途端、声が鼓膜を叩いた。元気で、はつらつとした声。
反射で、声の主の方を見た、女の子が立っていた。
否、それは少し違う。
女の子と男が、正面に立っていた。
ふわふわと波を打ち、照明に照らされて、きらきらと輝く銀髪。綺麗に整い、可愛らしいという表現がぴったりな顔立ち。年頃に見合った双丘。
流石の
隣に立って、こちらを見下ろす長身の男は、日本人としてはレアな、高く鋭い鼻、猛禽類を彷彿とさせる眼光。若いころはさぞモテたであろう顔立ち、そこに、渋めな皺が刻まれ味が出ている。仕事用のスーツを見事に着こなしている姿は、一瞬、俳優か何かかと思った。
対する少女は、緩いオーバーサイズのパーカーを着ている、下には短いジーンズのようなものを履いていて、白い太ももが露わになっている。
どこをとっても対照的な二人、しかしながら、死唄は、目の前に立つ異常より、その空間そのものに意識を奪われていた。
二人の背後に広がる、大きすぎるホロモニター。それが浮き上がる空間は、黒塗りの壁で、統一されている。部屋の中心には、大きな円卓が置かれ、書類などが散乱していた。
それを取り囲むように、丸く縁どられた壁際には、どう見てもオペレーションをするための椅子や機器類。それが無造作に並べられている。よくよく見れば、その一席に女性が、空き缶の山に突っ伏していた。
端的に表現するならば、指令室。そのものだった。映画でよく見るようなものだ、何ならそれをそのまま持ってきたかのような出来栄えだった。
浮かび上がるホロウィンドウの向こうには、アルファベットのロゴが、不可能任務の映画よろしく、でかでかと取り付けられていた。
少女が口を開いた。
「ずっと待ってたんだよ~! 遅いから来ないのかと思っちゃった。よろしく‼」
「おい
男が少女を窘め、腕を組んだ。すると少女が不満げに、
「え~、まことっちだってさっき、
『まだなのか、しかしここを離れるわけにも‥‥‥』とか言ってたじゃん」
「声真似をするな‥‥‥もういい、好きにしろ」
あきらめたように首を振り、話の主導権を男が譲ると、少女が目を輝かせて喋りだした。
「やった、好きにするよぉ~! じゃあまずは、メンバー紹介からにしようか。ボクの隣にいるダンディなおじさんが、
「それでね、あそこで、エナドリの山に突っ伏して寝てるのが、
「それと、今ここにはいないけど、もう一人。
淡々と説明がされる。その間、死唄は一言も発せなかった。怒涛すぎるのだ。付け入るスキがない。少女がタメを入れて、己を誇張するように、その柔らかな胸に手を当てる。
「
今、なんといった? 戦闘員?
「ようこそ、AKS-B(エキスビー)に!!」
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