第51話 小説界隈勢力図。Webコンテンツ特化型vs従来の小説。小説投稿サイトの主流派とは

 うだるような暑さ続く昨今、皆様いかがお過ごしでしょうか。さすがに暑すぎますね、いい加減にして欲しい。ま、それは仕方ないとして本題に参りましょう。


 タイトルにある通り小説界隈について記すが、小説界の勢力図は広く深い。かつて権威の象徴だった純文学は、評論家に「純文学は基本つまらない」と言わしめ、一時流行した携帯小説は今や絶滅危惧種。一応携帯小説っぽいものは生き残っているが、とんと見かけなくなった。


 さて、今から記すのは「小説界の勢力図」であって「小説投稿サイトの勢力図」ではないことに留意されたい。あくまで小説界隈である。まず、その勢力図を記し分類する。漏れや勘違いはあるかもだが、あくまで筆者の知識不足なので細かい点は調べて欲しい。

 その上で、書き手ユーザーがどこを目指すかの指針になれば幸いである。


□勢力図一覧

「純文学」

「文芸、大衆小説」

「ライトノベル」

「なろう系」

「Webコンテンツ特化型」


 物足りない分け方かもしれないし、異論はあるかもしれないがとりあえずこれでいく。ではそれぞれの特徴を記す。


■「純文学」芸術性を重んじる。私小説系など

・この勢力は絶滅危惧種に近いと思いきや、生き残っている。文章芸術における権威、芸術的観点から「なくなることはない」


 ノーベル文学賞に「なろう系」が選ばれることは未来永劫ないだろう。大衆、商業小説を一度でも書いたことがあると「選ばれることはない」と、筒井御大は仰っていたが、恐らく事実なんだと思う。そういうルールがあるんだろう。気位が高い。


 しかし純文学はその方向性と性質から文芸勢の攻撃を受け、常に脅かされる。これからも苦難は続くだろう。絶対に生き残るが。


■「文芸、大衆小説」幅広く大衆大人向け

・最大の特徴は「純文学に限らず、あらゆる芸術性、創作的要素を取り入れる勢力であること。ブラックホール的存在」


 児童小説などもここに入ることがあり、幅広く分厚い勢力。ここに属する作家はとにかく手練れ揃い。あらゆる分野の特徴を「文章芸術」「テーマ」として取り入れ創作し、表現する。


 ただし弱点もある。

「凄まじい競争社会、カオスな舞台」なのだ。読者が成長し大人となり、読解力が身につくにつれ、必ずここに至るシステムになっている。が、いかんせん競争相手が多すぎる。

「ある程度書ける小説家は腐るほどいる」ことを証明してしまう、最大の勢力と私は考えている。


■「ライトノベル」主に若者向け

・なんでもあり。幅広過ぎる。文芸勢を呑み込む勢いすら感じるのが特徴


 こちらも幅広い勢力で、漫画やアニメ、ゲーム的な要素側面を持つ作品も多い。ハードSFからライト文芸、そしてなろう系もライトノベルの一派生系と考えれば、最強の勢力かもしれない。

 ただしテーマが「異世界」などファンタジー要素を含むものが多く、結果文芸との棲み分けがなされている。書き手も多様で、競争が激しい多様な勢力だ。


 加え、当たり前だが「願望充足系とは限らない」というのもライトノベルの特徴である。


■「なろう系」ライトノベルを更にライトに描く勢力

・主戦場は小説投稿サイト


 基本「願望充足系」が強い気もするが、こちらを「小説投稿サイトに投稿された作品」と設定してしまうとややこしい。

 かつてはライトノベルの一派生系だったかもしれない。時間と共に地位を確立したようにも思える。ただ、今や少し立場が変わってきた。次の勢力が台頭してきからだ。


■「Webコンテンツ特化型」スマホ向け。一応タブレット含む

・最大の特徴は「まともな小説である必要はない」ということ。作者、読者の時短が最大のテーマ。「お互い苦労したくない」が、合言葉であり正義である。「小難しい作品は敵。発見次第撃滅せよ」ぐらいな勢力


 なろう系から派生したと思われるが「ネットワークとデバイスの進化」の影響を受け誕生した新興勢力。

 この勢力の最大の特徴は先に記した通り、もはやまともな小説とは呼べないものも含まれることだ。文章は簡略化され、誰が喋ってるか分からないなんて当たり前。とにかく書き手も読み手も「時短」「隙間時間」を埋めることを目的としている。「読者に労力を求めない」という感じ。

 よう分からんがとにかく強い。


「小説投稿サイト」であるならば、最大の勢力を誇る。これは間違いないだろう。

 なろう系すら駆逐する勢いで、簡略化簡素化、省略しまくった「小説っぽい」ものが、小説投稿サイトの主役である。ついでに言うと、コンテストでも強い。加え、金になる作品も含まれる。


「かなり特殊な技術を用いた、Webコンテンツ消費型」


 であり、PVから「広告収入を生み出す」ことも特徴だ。もはや定着しているので、恐らくなくならない。言ってしまうと「YouTuber」や「ショート動画」みたいな、双方手間隙かけない手抜き勢力だ。

「週間連載漫画」どころか「毎日投稿小説」という苦行は、手抜きなしには語れない。毎日更新などを実行する為に、


「全力で手抜きする為の創意工夫が施されている」


 考えることは大変だが、書くことの手抜きは許されると証明した勢力である。小説投稿サイトにおいては、最激戦区。いわゆるハイスコア勢はこれに独占されてんじゃね?

 最近はとにかく強い気がする。失敗してる奴もいるだろうけど。ランキングの小説とかよう知らんが、そうなんだろ?(笑)


□小説投稿サイトの現実はこれ

 さて、その上で皆さんに問いたい。以前から似たようなことを記しているが「あなたはどこを目指し、属しているのか」と。

 私は自分の常設エッセイで「Webコンテンツは基本伸びない」「基本読まれない」と散々記してきた。だからカクヨムでは読み合いが容認されてたりする。規約範囲でね。


 その上で現実を記す。

 Webコンテンツ特化型、消費型に対し文芸やライト文芸はめちゃくちゃ不利だ。今やライトノベルやなろう系ですら、Webコンテンツ特化型に対しては不利を背負う。

 一応読む系企画者として、Webコンテンツ特化型に目を通す機会はあるが、正直勘弁して欲しい。


「いい大人が読むものではない(笑)」


 私の感覚としては「かなりニッチなジャンルであり、勢力」なのだが「映像化、アニメ化」に近い、という特徴がある。


 Webコンテンツ特化型は「台本・脚本」みたいなもので無駄がなく、しかもサイト上の人気が一目で分かる。色々保障されているのだ。それをアニメーションとして発信すれば「世界相手のコンテンツ」となり、金を産む可能性がある。夢がありますね。


□結論。ちなみに推理文芸は日に12Pでトップ5入り

 さて、かなりざっくりと小説界隈勢力図を記した。その上で「小説投稿サイトにおいては、Webコンテンツ特化型が圧倒的に有利」と記した。


 一つ証拠を提示する。

 私はかつて推理文芸ジャンルにおいて、日間ランキング1位になった。2日ほどだ。その際稼いだのは1日最大138Pだったかな。1位だけなら80Pでなれたが、実はそれなりに激戦だった。


 アニメ化もされた有名作品が常時君臨する中、私以外のユーザーもランキング争いを演じていた。私は2日程日間ランキング1位だったが、作品を締めてしまったので以降は降下した。

 で、今の推理文芸はというと副題にある通り「12P」でランキングトップページ、トップ5入り出来るような有り様だ。


 小説投稿サイトの読者は、ミステリーを求めていない。もちろん人気作品はあるだろうが、ブクマ一つで「ランキング自体には入れる」という過疎っぷり。しかしこれは小説投稿サイトの話である。小説界を広く見れば、むしろ小説投稿サイトの「Webコンテンツ特化型」はニッチと言わざるを得ない。

 無論、私が知らないだけで、


「Webコンテンツ特化型人気過ぎ、儲かって仕方ない。小説投稿サイトのハイスコア勢みんなタワマン」


 というのなら、私の見解は大きく誤っているのだろう。

 なろうやカクヨムのトップランカーは毎日高級寿司を食いながら、港区女子とあれやこれやなのかもしれない。女性作家なら何区なのか知らないが、好きに遊べばいい。若い男とあれやこれやするといい。


 とにかくだ、私が言いたいのは、


「Webコンテンツ特化型が小説界の主流にならない限り、やるだけ無駄」


 ということである。

 ランキング攻略は片手間でやれ。Web上の公開系コンテストに限らず、非公開系のコンテストにまともな小説書いて参加しなさい。小説投稿サイトは時短、タイパ勢に支配された。スマホ、情報端末デバイスの進化の結果だ。ランキング攻略云々とかは暇潰しにやるといい。とにかくまともな小説書け。


 書けないなら話は変わる。

 ハイスコア目指して港区女子とあれやこれやだ。

 港区男子がいるなら、女性作家はそっちを目指せ。

 以上、これが私の結論である。

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